2020.01.21 08:00

【国会開幕】ごまかしの政治と決別を

 通常国会がきのう開幕した。
 安倍晋三首相は施政方針演説で、全世代型を目指す社会保障制度改革の実行や、東京五輪・パラリンピックの成功、憲法改正などへの意欲を前面に押し出した。
 一方、昨年から疑念が拭えていない「桜を見る会」の私物化批判や、元内閣府副大臣が逮捕されたカジノを含む統合型リゾート施設(IR)を巡る汚職事件などには触れずじまいだった。
 これでは都合の悪い問題にはふたをし、説明責任や議論を尽くさない安倍政権の体質を、今年も懸念せざるを得ない。
 桜を見る会では、首相の後援会関係者が多数参加した経緯など数々の疑惑に説明が尽くされていない。内閣府が廃棄したとする招待者名簿のずさんな管理実態は、政府自ら「違法」と認める事態に発展した。
 この問題の本質は金額の多寡ではあるまい。
 税の適正な使い道を決める政権の責任者を民間の会合の「幹事」に例えたとする。その幹事が会員から集めた金を自らの利益のために使い、領収書を捨て、納得のいく説明もしなければ決して許されまい。
 首相は政権への信頼が根本から問われる懸案と捉え、真摯(しんし)に向き合うべきである。
 IR事業も正当性が問われている。逮捕された秋元司容疑者以外にも自民党などの衆院議員5人に現金を渡したと中国企業側が供述、東京地検特捜部の捜査が進む。
 政権幹部は「今回の事件とIRとは次元が違う」と影響を否定するが、事件はカジノを含むIR事業が整備地域や事業者の選定などで巨大な利権が絡むことを露呈した。
 野党側はカジノ営業を禁止する法案を衆院に共同提出した。首相と政権与党は事件から目を背けるのではなく、あらゆる角度から課題を検証する論戦に臨むべきだ。
 自らが進めたい政策のアピールが目立った首相演説も、十分な説明と国民の納得がなければ言葉は空疎さを伴う。
 全世代型社会保障改革では、首相は「人生100年時代の到来は大きなチャンス」と述べた。
 75歳以上の医療費窓口負担を現在の1割から2割に引き上げる方針にも触れたが、低所得者に配慮する仕組みなど課題は山積している。
 年金や雇用も含めて明確な全体像の提示と説明がなければ、少子高齢化社会に将来不安を抱える国民には「チャンス」とは捉えられまい。
 「国のかたちを語るもの」として各党に具体案提示を求めた憲法改正も、共同通信の今月の世論調査では首相の下での改正は反対が賛成を大きく上回った。国民の意識とは隔たりがある。
 米中ロとの関係や朝鮮半島情勢をはじめとする外交、安全保障など精査すべきテーマは幅広い。政権に十分な説明をさせるためには野党の力量も問われよう。逃げやごまかしの政治とは決別を求める。

カテゴリー: 社説


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