2020.01.01 06:00

星追う89歳・関勉さん プラネタリウムで番組投映へ 高知市

これまでに彗星を六つ見つけています。次見つけたら七つ目。縁起がいい数字ですねえ(関勉)
宇宙空間を駆ける「池谷・関彗星」を見つめる関勉さん。手に持つのは、この彗星を実際に発見したコメットシーカー(高知市追手筋2丁目の高知みらい科学館のプラネタリウム、魚眼レンズ使用で6秒間露光)
宇宙空間を駆ける「池谷・関彗星」を見つめる関勉さん。手に持つのは、この彗星を実際に発見したコメットシーカー(高知市追手筋2丁目の高知みらい科学館のプラネタリウム、魚眼レンズ使用で6秒間露光)
 1965年。大げさに言えば、その年は世界中の人が空を見上げたはずだ。キューバの人は感動し曲を作った。カトマンズの人々は災いが起きると不安になり、神に祈りをささげた―。
 
「星を見るには目を大事にせないかん」と子どもに語り掛ける関さん(芸西村の県立芸西天文学習館)
「星を見るには目を大事にせないかん」と子どもに語り掛ける関さん(芸西村の県立芸西天文学習館)
 池谷・関彗星(すいせい)。長大な尾を引く20世紀最大級の大彗星で、世界中で天文ブームを巻き起こした。
 
 発見者の一人は高知市在住のコメットハンター、関勉さん(89)だ。
 
 1月21日から高知みらい科学館(高知市のオーテピア5階)のプラネタリウムで、関さんをテーマにしたオリジナル番組「未知の星をもとめて 1965」が投映されることになった。
 
 番組を制作している学芸員の前田雄亮(ゆうすけ)さん(39)は「高知と星のつながりを考えた時、第一に出てくるのは関さん。オーテピア開館から1年以上たって、いよいよやってみようかな、と」。満を持しての登場である。
 
 ☆  ★ 
 
 関さんはこれまでに新彗星を6個と小惑星223個を発見した。このことのすごさは一般には理解しにくいだろうが、前田さんいわく「多くの人が彗星発見に挑んだが、ほとんどの人が一つも見つけられなかった」。
 
 彗星と言えばハレー彗星のような雄大な姿を想像するが、最初に発見される時は極めて微細な光の粒だという。
 
 では、どうやって見つけるかというと、人が望遠鏡で見ることのできる何万もの星の配列が、関さんの頭には入っているのだ。
 
 ぞうきんで床を拭いていくような要領で、晴れた日は毎日、望遠鏡で天空をなぞり、昨日までそこにはなかった光の粒を探す。しかし、その光はいつ、どこに現れるのか分からない。
 
 「しょっちゅう空を見ているから恒星や星雲、星団の顔や位置は覚えています。宇宙の番地に詳しかったということです。それでも世界で一番に彗星を見つけるというのは、砂漠に落とした小さな宝石を探し出すようなものです」
 
 関さんが自作のコメットシーカー(彗星発見専用の望遠鏡)で初めて彗星を発見したのは、探し始めて12年目のことだった。
 
 ☆  ★ 
 
 「月には穴がどっさりあります。月面には大気がないから隕石(いんせき)が落ちた跡がそのまま残るんですねえ」
 
 12月上旬。安芸郡芸西村の県立芸西天文学習館で、関さんが子どもたちに語り掛けた。天体をテーマにした観測会。関さんは89歳になったいまも講師として月1回、星や宇宙の素晴らしさについて語っている。
 
 教室に参加した大津小3年の曽我部壮永(そうと)君(9)の夢は天文学者になること。「宇宙は分からんことがいっぱいあるから好き。関さんみたいに新しい星を見つけたい」と目を輝かせた。
 
 関さんの影響を受けたのは現代の子どもたちだけではない。
 
 宇宙飛行士の毛利衛さん。高知みらい科学館の開館記念で来高し、関さんが現役で活躍していることを知り感激していたという。「関さんは神様のような存在。子どもの頃に宇宙に興味を持つきっかけになった人」と語っていた。
 
 そんな“レジェンド”が高知にいて、子どもをはじめ多くの人々に宇宙の魅力を伝えている。
 
 学芸員の前田さんは「番組を通じて一人でも多くの人に関さんのすごさを思い出してもらい、知らない人にはぜひ知ってほしい」と期待を込める。
 
 番組は45分を予定しており、彗星の説明や関さんの業績について紹介する予定だ。
 
 ☆  ★ 
 
 冬が進む。空が澄み、一年のうちで最も星がよく見える季節。おおいぬ座のシリウス、オリオン座のベテルギウス、こいぬ座のプロキオンでつくる「冬の大三角形」が雄大で印象的だ。
 
 関さんは今も月に7夜ほど芸西村に通い、ほぼ徹夜で天体観測をする。80歳を過ぎて本格的に天体観測をしている人は、世界中探しても他にはいないだろう。
 
 「美しい星空をただ眺めることが幸せです。これまでに彗星を六つ見つけています。次見つけたら七つ目。縁起がいい数字ですねえ。希望? 持っていますねえ、はい」
 
 生涯、星追い人。(石丸静香)

カテゴリー: 文化・芸能高知中央

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