2020.01.01 06:05

土佐弁で演じる喜び 刀剣乱舞「陸奥守吉行」役の声優・濱健人

「応援してくれる人たちがいるから頑張れる。もっと自分の幅を広げて、息長くやっていきたい」濱健人

 「なんちゃあない」「ほたえなや!」。明るく豪快に響く土佐弁で、美男子キャラクターを躍動させている。南国市出身の声優、濱健人さん(27)。絶大な人気を誇るゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」と、そのアニメ化された作品で、坂本龍馬の愛刀「陸奥守吉行」役を演じている。

 デビュー7年目。アニメ「北斗の拳」のラオウ役などで知られる故・内海賢二さんが設立した「賢プロダクション」に所属している。「土佐弁で表現できる作品に出たかった。早い段階で夢がかなって、僕は本当に恵まれています」

 吉行役が舞い込んだのは2014年。「吉行のどのせりふも共感できて、彼のような一面が自分にあるんだろうなと思いつつ、がむしゃらに芝居した。声が大きくて、笑い声は『ガッハッハ』。あと、飾らない。頭の中に龍馬のイメージがあった」と振り返る。

 収録現場では、土佐弁の“監修”も。「より自然な言い方を提案させてもらった。アクセントを大事にして、『けど』は『けんど』に、語尾は『~ぜよ』や『~やき』を付けつつ、しつこくならないようにしました」

■「読書名人」から
 南国市稲生の出身。稲生小学校時代、「濱君は本読みがうまいね!」。先生が褒めてくれた一言が、今の道につながったという。

 「おかげで感情を込めて本を読むことがすごく好きになって、学校で『読書名人』と呼ばれた。発表会で劇をやったら『お芝居もうまいね』と、みんなに褒められて。『演技が好き』という気持ちは当時からあった」

 香長中学校、岡豊高校時代は部活動のバスケットボールに打ち込んだ。そんな高2の夏休み。友だちの家で、アニメ「コードギアス反逆のルルーシュR2」を見た。

 「面白さに衝撃を受けて、主人公の福山潤さんの芝居がかっこよくて。当時は『フェイト ステイナイト』『涼宮ハルヒの憂鬱(ゆううつ)』…。アニメ史に名前を刻んでいる作品が次々に出た黄金期。『声優になろう』と決めて、すぐに専門学校の資料を請求しました」

 その声優学科を卒業後、賢プロダクションの「スクールデュオ」に合格。「デュオは“声優養成所の東大”といわれている。ある程度できるのは当たり前で、できないことはありえない世界」

 睡眠時間を削りながら台本を覚え、駄目出しに対応できるようにいろいろな演技を考え、歌も練習し…。朝起きてから寝るまで、延々と芝居と向き合う合宿も。「そうやっているうち、『自分をどう見せるか』ばかり考えていたのが、『芝居はお客さんにどう見てもらうかなんだ』と思うようになった」

■芝居と向き合い
 2019年は、県立坂本龍馬記念館(高知市浦戸)の音声ガイドも好評だった。京都国立博物館所蔵の「吉行」が“里帰り”した特別展で、展示史料を解説したのだ。

 刀剣乱舞ファンらも詰め掛け、3万人以上が来場。濱さんは「『刀だから濱さん』と求めてもらえたのがうれしかった」とほほ笑む。

 「ほいたら、まあ、ゆっくり見とうせ」。音声ガイドの声から感じられる明るさ、若々しさ、そして包容力。龍馬のイメージをほうふつとさせ、濱さんの豊かな表現力に驚く。

 競争の激しい声優界で日々戦っている。「オーディションを受けても落ちまくるし、気持ちが折れてしまうこともあるけど、芝居が好きで、応援してくれる人たちがいるから頑張れる。もっと自分の幅を広げて、息長くやっていきたい。芝居と向き合い、いい役者になりたいです」

《忘れられない言葉》あなた、王道ね
 濱健人さんは、所属している賢プロダクション相談役、野村道子さんから掛けられた言葉をよく思い返すという。野村さんは「サザエさん」のワカメ役や「ドラえもん」のしずか役などで知られる声優だ。

 「芝居を見てもらい、『あなた、王道ね』という一言をもらった。『王道でいいわね』とも『王道でつまらない』ともとれる。深い言葉だから、その意味についてはずっと考えています」(田村文)


濱健人(はま・けんと) 1992年生まれ。稲生小学校、香長中学校、岡豊高校、ビジュアルアーツ専門学校大阪を卒業し、2014年に声優デビュー。出演作として、アニメの「カード・バトルZERO」主人公ジョン役、「カードファイト!!ヴァンガード レギオンメイト編」オリビエ・ガイヤール役、ゲームの「アイドルマスターSideM」の木村龍役など。

「刀剣乱舞-ONLINE-」のゲーム画面(左から肥前忠広、南海太郎朝尊、陸奥守吉行)。陸奥守吉行の声を濱健人さんが担当している(画像はゲーム内のイベント特命調査「文久土佐藩」の画面で、このイベントは現在開催されていません)(c)2015-2020 DMM GAMES/Nitroplus
「刀剣乱舞-ONLINE-」のゲーム画面(左から肥前忠広、南海太郎朝尊、陸奥守吉行)。陸奥守吉行の声を濱健人さんが担当している(画像はゲーム内のイベント特命調査「文久土佐藩」の画面で、このイベントは現在開催されていません)(c)2015-2020 DMM GAMES/Nitroplus
刀剣乱舞-ONLINE- パソコンやスマホを使うゲームで、刀剣をモチーフにしたキャラクターを集めて戦う。若い女性の「刀剣ブーム」も相まって人気となり、舞台化や映画化もされた。武市半平太が重用した刀工に由来する「南海太郎朝尊(なんかいたろうちょうそん)」、岡田以蔵が使ったとされる「肥前忠広(ひぜんただひろ)」もキャラクターとして登場。2019年には、土佐藩を舞台にした「イベント特命調査『文久土佐藩』」も開催された。


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カテゴリー: 文化・芸能主要香長


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