2019.12.18 08:44

築95年の旧十和村庁舎解体へ 倒壊の恐れで四万十町

旧西上山村庁舎として1924年に建てられた「民具館」(四万十町昭和)
旧西上山村庁舎として1924年に建てられた「民具館」(四万十町昭和)
保存要望にも「移築困難」
 高知県高岡郡四万十町昭和にある築95年の旧十和村役場庁舎が倒壊の危険があるとして、四万十町は解体に向けた準備を進めている。当時流行した西洋風のたたずまいで、小さいながらも存在感のある建物。「歴史的建造物として保存できないか」という声も上がっている。
 
 木造2階建てで、延べ床面積約220平方メートル。文化財などの指定は受けていない。過去の議事録によると、1924年に旧西上山村役場として建設。1928年の昭和村への村名変更を経て、1957年に十川村と合併して十和村となった後も1963年まで役場庁舎として使われた。
 
 1970年からは、農具や家具など生活様式の変化で使われなくなったものを集め展示する「民具館」に衣替え。建物の老朽化に伴い現在、収蔵物は旧大道(おおどう)小学校に移されている。数年前から倒壊や子どもの侵入などの危険性を心配する声が町に寄せられていた。
 
 2018年12月の十和地域の区長会では19集落のうち18集落が取り壊しを容認。町は2019年度予算に解体工事費757万円を計上し、四万十町の文化財保護審議会にも「解体前に写真などの記録を残すこと」との意見付きで了承を得ている。
 
 一方、建物の歴史的価値を指摘する声もある。NPO高知文化財研究所の溝渕博彦代表によると、県内で現存するこれより古い庁舎建築は、佐川町の旧青山文庫(旧須崎警察署佐川分署、1886年)と、梼原町歴史民俗資料館別館(旧西津野村役場、1891年)ぐらいだという。「保存するなら活用法を考える必要があるが、ただ古くなったから壊すというのはもったいない」と話す。
 
 建物を、国の「重要文化的景観」の構成要素の一つに指定すると、保存費用に国の補助がある。ただ、急傾斜地にあるため、指定を受けるには移築が必要。そのためには数千万円単位の費用が必要という。四万十町十和振興局は「住民の安全が最優先。移築も難しいとなれば解体はやむを得ない」としている。(井上太郎)

カテゴリー: 高幡高知のニュース

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