2019.12.14 14:40

男性の育休取得推進の秘策は? 高知県内の先駆者に聞く

「もう一回、ボールやる?」。華恵ちゃんの遊びを優しく見守る五百蔵慎一さん(高知市内)
「もう一回、ボールやる?」。華恵ちゃんの遊びを優しく見守る五百蔵慎一さん(高知市内)
企業の支援策がイクメン後押し 経験すれば前向きに
 男性の育児休業取得は全国的に少ない。そんな中、先駆的に育休を取得した父親たちが高知県内にもいる。彼らの経験談から、男性の育児参加を進めるためのヒントを探った。

■育休or退職
 高知市内で自動車ディーラーの営業マンとして働く五百蔵(いおろい)慎一さん(38)は、第4子の華恵ちゃん(2)出産に合わせて2017年10月から半年間育休を取得した。

 上の3人の時は団体職員の妻、恵子さんがそれぞれ約1年間仕事を休んだ。家族が増え、家事や育児の負担が重くなり、復職してからも目が回るような忙しさだった。4人目を身ごもった時、恵子さんは「無理。家が回らない」と慎一さんに訴えた。

 「妻は精神的に追い詰められていた。話し合って、僕が育休を取るか、無理なら退職しよう、と。それで会社に相談しました」

 勤務先の「ネッツトヨタ南国」は、女性社員の育休取得率は100%だが、男性社員の前例はなかった。多少の紆余(うよ)曲折はあったが、上司が「助け合ってやっていこう」と積極的に協力してくれ、同僚たちの理解も得て引き継ぎ態勢を整えた。

 華恵ちゃん出産から2カ月弱で、恵子さんは職場復帰。その日から慎一さんがバトンタッチして育休に入り、“主夫”に専念した。

 「育休を取って気付いたのは、家事は『ご飯を作る』『洗濯』『掃除』だけじゃない、ということ。子どもが寝ている間に好きなことができるかなと思っていましたが、皿洗いをしたりトイレ掃除したりで、そんな時間もなかったですね」

 仕事とは別の“激務”だったが、子どもたちにじっくり寄り添い貴重な半年間だったと振り返る。

 日本全体で見れば、男性の育休取得率は約6%。慎一さんの場合、必要に迫られてはいたが、日常的に家事や子育てを分担していたからこそできたとも言える。

 男性の育休取得が伸び悩んでいる理由について、「男性が『育休を取りたい』と思っていないからかもしれない。普段から家事に慣れてなかったら、飛び込みづらいと思う」と感想を話す。

■お金が心配
 「長期間休むのは、経済的に厳しい」「お金の心配があったので、夫婦で育休の期間を話し合った」

 育休中は給料が出ない分、雇用保険から最初の半年間は賃金の67%、それ以降は50%が支給される。一定の収入は保証されるものの、給料に比べ減額になることは間違いない。このため取得をためらったり短期間にとどめたりした人は少なくない。

 「山崎技研」(香美市)ではこの点を考慮し、有給の短期育休制度を設けている。男性社員が最長連続10日取得でき、この5年間で対象者の9割が利用するなど定着した

 次女(3)の出産時に10日間休んだ総務部の今井博之さん(40)は「周りの理解と有給だったから取った、という理由が大きい。子どもが生まれてこれからお金がいる、という時期に収入が下がるのは厳しい」。

 山崎技研の岡本吉行企画室長は核家族や共働きが増えている背景を踏まえ、「男性が育休を取りやすいということは女性も取りやすいということ。今は就職活動でも、会社の雰囲気や働きやすさを重視する人が多いので、採用にも有用に働く」と会社側にとってのメリットを話した。

■やってみないと
 「育休中にやることって実は多いが、子どもがかわいくて、しんどくはなかった。子どもが寝てる時はずーっと眺めていました」(土佐市の広瀬製紙、西原薫さん=27歳)

 「育休を利用して、子どもを病院に連れて行けた。制度を周知することが必要」(高知市の山下電機、葛目連さん=31歳)

 「やってみないと分からないことが人生には多々ある。いい経験になった。2人目、3人目の時もできれば取りたい」(高知市のワールドビジネスシスコム、片岡佑太さん=37歳)

 働き方改革の動きとも相まって、県内でもさまざまな形で取得を後押しする企業は増えており、育休を経験したお父さんたちからはポジティブな感想が多く聞かれた。

 「育休は女性だけが取ればよい」という考えはもう古い。あなたの職場でも、ぜひイクメン支援を―。 (松田さやか)

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カテゴリー: 社会子育て社会

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