2019.12.11 08:44

高知学芸進学アカデミー閉校へ 少子化で本年度限り 浪人激減

来年3月末での閉校が決まった高知学芸進学アカデミー(高知市槙山町)
来年3月末での閉校が決まった高知学芸進学アカデミー(高知市槙山町)
 高知県内の大学受験業界の一角を占めてきた高知市槙山町の予備校「高知学芸進学アカデミー」が、本年度末で閉校することが10日までに分かった。少子化を背景に在籍者数が少なくなったためで、ピーク時は400人規模に上った在籍者数は、近年は50人ほどに減少している。受験産業は全国的に冬の時代を迎え、生き残りの厳しさを増している。橋本和紀校長は「約30年の歴史を閉じることは残念。これからは教員の力を高知学芸中高の教育活動に集中させたい」と話している。
 
 学校法人「高知学芸高等学校」が運営し、1986年に高知学芸中学高等学校の校舎に隣接する形で開校。学芸中高の卒業生だけでなく、他の高校や県外校の卒業生も通っていた。
 
 学芸進学アカデミーによると、開校当時は18歳人口が増加しており、1990年度に在籍していた浪人生は約460人に上った。その後、増減はありながらも2000年代前半までは300人規模を維持。その後は減少傾向が続き、2007年度に100人台になり、4年前からは50人規模にまで落ち込んでいた。本年度は55人。
 
 長期的にみて在籍者が増える見込みがないことから、本年度になって閉校の検討を始めたという。既に理事会・評議員会で閉校を決定し、在校生や学芸中高の生徒・保護者には報告を済ませた。
 
 学芸進学アカデミーの教員は18人体制で、このうち専任教員は4人。学芸中高の校長でもある橋本校長は「今後は中高6年間で探究学習を充実させる計画で、アカデミーの教員を中高に戻すことで人員的にも厚みが出る。新たな教育活動のスタートだと前向きに捉えている」と話している。
 
 学芸進学アカデミーの本年度までの在籍者総数は延べ7700人。
 
「全入時代」で県内浪人激減 受験業界は生き残り厳しく
 予備校「高知学芸進学アカデミー」の閉校は、少子化の波にのみ込まれた格好だ。10年ほど前から大学の総定員より受験生が少ない「大学全入時代」となっており、高知県内の浪人生の数も平成の初めごろに比べて激減している。「今、浪人してまで大学に行こうという生徒は限られている」との声も聞かれる。
 
 浪人生減少の最大の要因は少子化。第2次ベビーブームの頃に生まれた子どもが受験生となった1989年度に県内に1万876人いた高校3年生は、2018年度は6197人に減少。予備校や高校の複数の教員によれば、平成の当初は「希望校どころか滑り止めにも受からなかった。異常だった」「極端な例では倍率が90倍を超す私大もあった」という。それが、この間に大学の数が増えたこともあって「選ばなければどこかの大学に行ける」時代になった。
 
 県内のある高校では平成の初めごろに高3のうち約3割が浪人生になっていたが、近年は1割程度で、実数で約100人減っている。複数の塾や学校の教員が「難関大でさえも、平成の初めよりかなり入りやすくなっている」と明かす。
 
 大学の合格ラインが下がることで、例えば首都圏の有名大に「かつてならかからんかった子」が合格できるようになった。高校の教員らは「最近は学歴にこだわらない子もいる。落ちたら浪人という挑戦をしない傾向がある」と受験生の気質の変化も口にする。 
 
 県内の浪人生数の明確なデータはないが、文部科学省の学校基本調査によると、高知県から私立各種学校の認可を受けている予備校(現在は学芸進学アカデミーと土佐塾予備校)の在籍者数は、ピークの1995年度の1472人から本年度は245人と激減。この数には既卒者だけでなく高校生も多く含まれるものの、浪人生の激減は推察できる。
 
 少子化の中で受験産業の生き残りは厳しくなっている。受験生が県外の予備校に行くほか、県外の大手予備校が県内に進出したり、個人塾が増えたりして、生徒が分散している事情もある。
 
 ある塾経営者は「少子化の中、生徒を獲得する手段に知恵を絞るところが生き残る。企業努力が欠かせない」とする。少ないパイを取り合う激戦は続きそうだ。(石丸静香)

カテゴリー: 教育高知中央


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