2019.12.11 08:00

【五輪からの除外】ロシアに自浄能力求める

 ロシアのドーピング問題に抜本的な解決の糸口が見えず、来年に迫った東京五輪・パラリンピックにも暗い影を落とす事態になった。
 世界反ドーピング機関(WADA)がロシアの悪質な検査データ改ざんに対し、同国選手団を主要国際大会から4年間締め出す「過去最大級」の厳罰処分を決めた。
 東京五輪・パラリンピックでも潔白を証明した選手のみ個人資格での出場を認めるが、国としての参加や国旗の使用は認めない。
 WADAは昨秋、疑惑の全容を解明するための検査データを提供する条件付きで、ロシアの反ドーピング機関の資格停止処分を約3年ぶりに解いていた。
 ところがロシア側は昨年末の提出期限を守らず、その間にデータの改ざんや捏造(ねつぞう)を図っていた。少なくとも145選手に改ざんが認められ、およそ3分の1は現役選手だという。
 うそにうそを重ねる愚行だ。WADAが「断固とした態度で対処する決意」を示したのは当然だろう。
 ロシアの薬物問題は2014年にドイツ公共放送が陸上界の組織的な疑惑を報じて持ち上がった。
 その後、16年にはWADAが調査報告書で他の競技も含めた国ぐるみの不正を認定し、リオデジャネイロ五輪・パラリンピックからの締め出しを勧告。18年平昌(ピョンチャン)冬季大会では五輪、パラともに個人資格での参加に限定されている。
 今回もロシア側は強く反発しており、プーチン大統領はスポーツ仲裁裁判所に異議を申し立てる可能性に言及している。
 一方、国ぐるみという異常事態の背景には、スポーツを国威発揚に利用してきたことがあると当初からいわれてきた。ロシア反ドーピング機関の幹部は、国内対策のレベルはこの数年間変化がなかったと指摘。早期に不正をなくすには「大統領の協力」が必要とも述べている。
 五輪のたびに締め出される現状は、本当に潔白な選手にとっては悲劇である。ロシアはスポーツ大国の立場を自覚し、国ぐるみで自浄能力を示すべきだろう。
 問題が長期化している背景には、国際オリンピック委員会(IOC)が厳格な姿勢を貫いてこなかったことにもある。リオ五輪では、ロシア選手の出場可否を各競技の国際連盟に委ねた結果、約280人の選手が出場している。
 スポーツ大国の不在で、五輪の商品価値を落としたくないという思惑が透ける。しかし、商業主義が先行して、不正への対応が中途半端になっていいはずがない。 
 ドーピングは全選手の公平、公正というスポーツの価値や五輪の根幹を揺るがす重大な不正だ。五輪の持続可能性にもかかわろう。
 WADAの決定を「支持する」との声明を出したIOCには、毅然(きぜん)とした対応を求めたい。東京の大会組織委員会も連携して、五輪の将来につながる「クリーンな大会」を実現するよう望む。 

カテゴリー: 社説


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