2019.12.10 08:00

【臨時国会閉幕】立法府軽視が強まった

 臨時国会がきのう会期末を迎え、閉幕した。
 野党は安倍晋三首相が主催する「桜を見る会」を巡る疑念が払拭(ふっしょく)されていないとして、40日間の会期延長を申し入れたが与党は拒否した。野党が求めた予算委員会での集中審議も拒み通した。
 これでは国民に説明責任を果たそうとしているようには見えない。安倍政権の国会軽視の姿勢は、一段と強まったと言わざるを得ない。
 桜を見る会を巡っては、安倍政権が公的行事や税金を私物化し選挙や後援会活動に利用したのではないかといった疑いが晴れていない。解明のためには、首相が出席した予算委員会での一問一答形式による集中審議が欠かせない。
 野党は「委員の3分の1以上の要求があれば委員会を開かなければならない」とする参院規則に基づき、開催を要求したが実現しなかった。
 安倍首相自身は「国会から求められれば説明責任を果たすのは当然だ」と述べていた。それなら自民党総裁として党側に集中審議に応じるよう命じれば済むが、そうした形跡もない。
 野党は通常国会が開かれていた4月にも同様に予算委開催を求めた。この時も与党はかたくなに拒んでいる。参院選を前に「老後2千万円問題」などで追及されていた時期で、「野党の見せ場をつくる必要はない」との思惑が報じられた。
 国民への説明責任より党利党略を優先し、疑惑隠しに躍起になっているのではないか。政府・与党の対応ぶりは、国民の目にそう映っても仕方あるまい。
 思い出されるのは、森友・加計両学園の疑惑が焦点となっていた2017年6月。野党は臨時国会の召集を求めた。衆参いずれかの総議員の4分の1以上の要求で、内閣に召集を義務付ける憲法53条の規定に基づくものだった。
 与党はそれを3カ月間「放置」した揚げ句、ようやく9月に召集された臨時国会の冒頭で安倍首相が衆院を解散。解明の場を葬った形となったのも記憶に新しい。
 国会の規則や憲法の規定に重きを置かず、野党の要請を一顧だにしない。国会を軽んじるような安倍1強政権のやり方に、民主主義が揺らぐ危惧を覚える。
 政権幹部は「(臨時)国会が終われば桜も散る。時間の問題だ」と沈静化に自信を見せているという。本当にそうだろうか。
 桜を見る会の問題では、公職選挙法や政治資金規正法に抵触するのではないか、との疑いも指摘されている。国会閉幕で「逃げ切り」を図れると考えているのなら、楽観的に過ぎよう。
 野党が閉会中も追及を継続する方針なのは当然だが、政府・与党ももっと真摯(しんし)に説明責任を果たすよう努めなければならない。
 国民の納得が得られなければ、桜の「疑惑の芽」はこれからも膨らみ続けるだろう。

カテゴリー: 社説


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