2019.12.03 08:42

観光振興コンサル料2年で2億円超 県内自治体で差くっきり

 高知県内各地で毎週末のように、さまざまな観光イベントが開かれている。自治体がかかわる催しのアイデア出しや運営、PRなどを担うコンサルタント会社。県内自治体が過去2年間に委託料などとして支払った総額は計2億1千万円。ゼロの自治体がある一方で、数千万円をかけたところもある。

 高知新聞が県内34市町村を対象に調査。観光分野(観光協会などへの補助金を除く)に限定して、2017、18年度にコンサルタント会社やプロモーション会社に支払った委託料を聞いた。

 最も多かったのが安芸郡東洋町の4040万円。野根川再生に向けた計画づくりや散策ツアー企画などが大半。2016年度から3カ年かけて進めた事業で、うち2カ年が調査対象年度に該当したため、額が膨らんだ。

 次いで田野町の3830万円。「志国高知 幕末維新博」に合わせて開催した複数のイベントや町の資源を生かした観光基本構想づくりなどに費やした。

 観光ガイドらの育成を行った土佐郡大川村(2070万円)、天狗高原の施設改修などに備える高岡郡津野町(1970万円)が続いた。

 コンサルタント会社の活用理由(複数回答)は、自治体側に「ノウハウがない」が19で最多。「人手が足りない」が5。自由記述では「豊富な実績と情報を持ち、時代に即した提案が期待できる」「(当該)分野の専門。違う目線での検討(ができる)」などの声があった。

 一方、高知市観光協会に年間3千万円超を補助する高知市をはじめ、南国市や梼原町など13市町村はコンサルへの支出はなし。5市町村が「資金がない」ためとした。自由記述では「観光協会で企画担当を雇用している」「職員と関係団体が連携を密にして取り組んでいる」「役所がやるものと考える」などとあった。ちなみに、県が支払った委託料(観光政策課所管)は県内市町村の合計額を上回る計2億3030万円だった。

 観光は、持続的に自治体が“稼ぐ”上での大きな柱。その仕組みづくりに必要な金は「生きた金」だと言えそうだ。ただ、中には首をかしげたくなるような例もあるようで…。

維新博に合わせて田野町が立ち上げたイベントの一つ「まちなかおばけストリート」。商店街などを舞台に地域おこしを図った。委託料330万円余りを計上した今年は、荒天予想のため中止となった(2018年9月)
維新博に合わせて田野町が立ち上げたイベントの一つ「まちなかおばけストリート」。商店街などを舞台に地域おこしを図った。委託料330万円余りを計上した今年は、荒天予想のため中止となった(2018年9月)
田野町3830万円 出しすぎ? 会社代表には“月給”33万円
 高知県内21市町村は2017、18年度に、コンサルタントなどに観光分野で計2億円以上の委託料を払った。このうち、支払額が3830万円と2番目に多かったのが安芸郡田野町。各種イベントを次々に開催しており、タレントを活用した移住促進事業を含めると、額はさらに膨らむ。本年度は委託会社の共同代表に33万円の月払いも始めた。

 先月下旬。田野町役場近くに甘い脂の香りが広がった。田野町主催の「肉フェス ガッツリ! ほおバルフェスタ」。参加者は町産の土佐あかうしのステーキに次々と箸を伸ばした。タレントも出店し、盛り上げた。チケットはロースやヒレ、ハンバーグなど肉1・15キロ(3~4人前)と野菜などで1組1万5千円だ。

 田野町は2017年3月に始まった県域キャンペーン「志国高知 幕末維新博」を契機に、ほかにも「まちなかおばけストリート」「春の田野日和(びより)deおきゃく」などの新イベントを次々始めた。

■随意契約
 こうした企画の契約相手は、同一の総合プロデュース会社。県の観光事業も手掛けた都内の会社で、田野町は2019年度からは同社から分社した会社と契約している。移住関連事業などを加えると2017年度以降、今年11月までの分を合わせて4700万円余りが支払われる。

 その契約方式の大半は、複数からの見積もりを取らない随意契約。数百万円規模のものもあり、他自治体からは「それほどの額になると、うちではありえない」の声も出るが、町は「タレントを起用し続けるために有利と考えた」という。

 さらに田野町は2019年度当初予算に「田野町まちづくりプロデュース業務委託料」392万円を計上。分社化した会社の共同代表と個人契約を交わした。業務内容は町の総合計画策定や来年の町制100周年に向けた助言、職員研修など。9月まで月額32万4千円、消費増税後は33万円を月払いしている。共同代表は月1~3回、町に足を運んでいるそうで、町は「町政に外からの目線を入れるため」と説明している。

■無駄な買い物
 「一発花火ではだめ。費用対効果を検証すべきだ」

 今年3月の田野町議会常任委員会。観光イベントの委託料について、複数の議員から疑問視する意見が出た。

 タレント起用は1回当たり60万円。先の肉フェスでは別の関連企画にもそれぞれ数十万円の経費を要した。これらも委託料で賄う。

 肉フェスに参加経験がある町民男性は「県補助金という“割引券”があるからやる、では無駄な買い物をしているのと同じ」と指摘。「タレントを呼ばなければ、もっとチケットを安くできる。もっと人が来る。委託ありきの考えを改め、あかうしPRに人も金も集中させるべきだ」と語気を強めた。

 コンサルタント活用に関する、自治体の声はさまざま。県東部の自治体は「財政健全化を図っており、委託はしない」。西部の自治体は「人脈など、どうしても必要な部分は頼る。しかし、あくまで主体はこちら」とする。

 常石博高町長はイベント効果について、「メディア露出が増えて町の名前が売れ、一定の成果が出た。生きた金だと思う」と説明。一方、来年度以降は催しの在り方を再考するとし、「委託料の抜本的な見直しも考える」と話している。(地域報道部取材班、中芸支局・北原省吾)

カテゴリー: 政治・経済安芸室戸


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