2019.11.30 08:50

島崎藤村の手紙9通初公開 高知市出身の馬場孤蝶宛て きょう11/30から県立文学館

島崎藤村が馬場孤蝶に宛てたはがき。左は、1916年のパリ滞在中に送ったもの (藤村記念館所蔵)
 トルストイ「戦争と平和」を初めて完訳した高知市出身の英文学者、馬場孤蝶(本名・勝弥、1869~1940年)に宛てて、親交の深かった作家、島崎藤村がしたためた手紙9通が、30日から県立文学館(同市丸ノ内1丁目)で開かれる孤蝶生誕150年記念企画展で初公開される。やりとりは44年間にわたり、同館は「長年の交友がうかがえる貴重な資料」としている。 

 孤蝶は、現在の同市升形で生まれた。県内外の学校や慶応大学で教壇に立ち、数々の海外小説を翻訳した。自由民権家の馬場辰猪は兄にあたる。

 藤村は現・明治学院大学時代の同級生。孤蝶が高知共立学校(土佐女子中高の前身)に勤めていた1893年には、藤村が来高して旧交を温めた。孤蝶は同年再び上京。藤村らが創刊した同人誌「文学界」などで詩や随筆、小説を発表していく。

 初展示となる手紙9通は藤村記念館(岐阜県中津川市)の所蔵で、今回の企画展のために借り受けた。同館ではこれまで展示機会がなかったという。

 内訳は封書4通とはがき5通で、日付は1892(明治25)年~1936(昭和11)年。近況報告や、孤蝶の書画を評価する内容などが読み取れる。

 特筆すべきは、1916(大正5)年1月にパリから送られたはがき。当時藤村は、後に小説「新生」(19年)で公表する姪(めい)との禁断の恋愛関係を経て3年前から渡仏していた。礼拝堂で買い求めたというはがきに、「いろいろ御心配を掛けました。三四月の頃には小生も当地を立ちたいつもりで居(お)ります」と帰国の意思をつづっている。県立文学館の津田加須子・学芸課長は「藤村自身の心境が分かる興味深い資料」としている。

 企画展「馬場孤蝶生誕150年記念展~馬場孤蝶とその時代~」(来年1月19日まで)ではこのほか、樋口一葉ら当時の作家との幅広い交流を示す資料など約200点を紹介。

 関連企画として12月8日午後2時から、文芸評論家の東(ひがし)雅夫さんが「孤蝶と、おばけと、ミステリー」と題して講演する。先着100人で、同館(088・822・0231)に事前申し込みが必要。(徳澄裕子)

カテゴリー: 主要文化・芸能高知中央


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