2019.11.28 08:42

高知で働く選択を 県内キャリア教育に熱 保護者見学会など

高知工業高校の保護者対象の企業見学会(高知市仁井田の北村商事)
高知工業高校の保護者対象の企業見学会(高知市仁井田の北村商事)
就業体験の強化も 成果に期待
 人口減少や人手不足を背景に、高知県内の教育現場で、地元企業に関心を持ってもらう取り組みが盛んだ。より早い段階でキャリア教育に着手したり、照準を保護者に合わせたり。企業側も「高知で働くことが有力な選択肢になってくれれば」と成果に期待している。

 「息子はおとなしい子。就職までに身につけるべきことは」。母親からの質問に、企業の役員が「ありのままで大丈夫。うちで育てます」とにこやかに答える。ほかの保護者も次々と手を挙げ、「残業は多い?」「配属のパターンは?」…。

 高知工業高校(高知市)の機械科は10月、初めて保護者を対象にした企業見学会を企画した。1、2年生の保護者十数人をバスで引率し、3社を案内。高校が保護者向けにここまで踏み込むのは異例で、他の科にも広げる方針という。

 高知工業高校機械科の五百蔵幸雄教諭は「生徒をよく知る保護者にも職場への理解を深めてもらい、確実にミスマッチをなくしたい」と説明。参加した母親の1人は「ものづくりの現場って知らなかった。これで息子と進路の話もしやすくなりました」と安心した様子だった。

中学生対象に行われたキャリアイベント(高知市横浜新町1丁目の横浜中学校)
中学生対象に行われたキャリアイベント(高知市横浜新町1丁目の横浜中学校)
 対象の低年齢化も進む。船舶用クレーン製造のSKK(高知市)など県内企業3社の採用担当者らは11月、キャリア教育のプロジェクトをスタート。横浜中学校(高知市横浜新町1丁目)で、約20社がブースを構えて職業紹介する催しを開いた。

 キャリア教育プロジェクト代表の楠瀬まどかさん(SKK)によると、採用担当者仲間で話し合う中で浮上した取り組みといい、「高知にも活躍できる企業がたくさんある。進路を具体的に考える前の段階で高知で働くことも意識してもらいたかった」。

 当日は2年生約110人が参加。垣根を低くするため、ブースには企業名ではなく「営業」「機械製造」など職種を掲示し、説明も、企業紹介より仕事内容を中心にした。

 会場では「中学の時に好きだったことは?」「なぜ高知に帰ってきたんですか」などと質問する生徒もおり、ある企業担当者は「何年後かに将来を考える時にちょっとでも思い出してくれれば」。横浜中学校の鳥越心さんは「世界トップクラスの企業が高知にあるなんて意外でした」とうれしそうだった。

 企業のインターンシップ(就業体験)を強化したのは、高知東工業高校(南国市)。これまで希望者のみだったが、今年の2年生約100人は進学希望者も含めて全員で行うことにした。

 橋本浩校長は「県外や大手企業なら安心という時代ではもうない。よく調べて就業体験もして、自分で選んだ仕事で生きていくんだという覚悟を持ってもらいたかった。進学希望者にも必ず役に立つ」と狙いを語る。

 夏休みに高知市内の製造業でインターンシップした中村祐太さんは「親しみやすい職場で、すごい技術や歴史があることも分かって驚いた」。進学希望だが「将来は地元で働きたい」と話した。

 高知県と高知県産業振興センターと高知県教育委員会も2017年度から、ものづくりの県内最大のイベント「ものづくり総合技術展」への学生呼び込みを強化している。今回は小学生から大学生まで約3500人が来場。工業系だけではなく、普通科や進学希望者の参加も多かったという。

 高知県教育委員会の高等学校課は「高知の企業を知らない生徒、先生はまだ多い。啓発を強めていきたい」としている。 (竹内悠理菜)

カテゴリー: 政治・経済


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