2019.11.19 08:35

2019高知県知事選 「実感」県知事選投票を前に(2)農家

クリの木を植える浜田好清さん(四万十町影野)
クリの木を植える浜田好清さん(四万十町影野)
「施策 到底追い付かん」
 「田舎の農業はもう守れんなってきゆう」

 後継ぎがおらず放置されたままになっていた畑にクリの苗木を植えながら、浜田好清さん(68)がつぶやく。かつては水田だったが、何年も前からコメは作られてない。高知県高岡郡四万十町の影野小学校近くの平地。周りには同じような耕作放棄地がいくつも見える。

 農家の高齢化と後継者不足は、県内の他の中山間と同じように深刻。小規模農家が集まって生産効率を高める集落営農を進めてきたが、それもままならない現実がある。

 浜田さんらは2017年、影野小学校区内の四つの集落営農の連携を目的に一般社団法人「四万十農産」を立ち上げた。後継ぎがいなかったり、立地条件や栽培環境が悪かったりする農地の管理を次々と託されている。

 知事選のまっただ中、農村の姿は県に届いているんでしょうか?

 少し考えてから、「県は頑張ってくれゆうと思う」。法人立ち上げの際や、細切れの棚田を平らにする整備事業など、県や国の補助に助けられた事例がすらすら出てくる。ただ、その言葉の流れのままに「農家の感覚と、県の感覚にはずれがある」との言葉が漏れる。

 例えば「四万十農産」。法人化までの手厚いサポートが、立ち上げ後は継続されていない。「本当にしんどいのは今。経営が安定するまで支援が欲しい」と漏らす。「確かに県は中山間農業の維持に力を入れちゅうけど、田舎の荒廃は年々加速しゆう。県の施策では到底追い付かん。危機感持っちゅうがやろうか」

 同じ四万十町内に現代農業の別の姿がある。影野小学校から車で10分ほど行くと、軒の高い園芸施設群が見えてくる。昔ながらのビニールハウスの風景を想像するのは間違いで、ちょっとした建造物といったところだ。ハウスの中の温度や湿度、二酸化炭素濃度がコンピューター管理されている。

 県が農業振興策の柱の一つに据える次世代型と呼ばれる園芸施設。事業主体の一つ「四万十みはら菜園」の東宣雄社長(53)は「高知の農業を引っ張りゆうって責任感がある」と自負をのぞかせる。

 しかし、「次世代型」も、先行きが楽観できるわけではない。「最新の技術があっても、自然を相手にする仕事。近年の異常気象は機械でどうにかできる話やない」。そして販売力。「莫大(ばくだい)な費用がかかるき、明確な経営ビジョンがないと到底建てれんってことよ。それに『次世代』言うても、5年、10年したら全国で当たり前になる。欧州では野菜があふれて価格が暴落しゆう。高知県も未来をどう見据えるかよね」

 香南市夜須町のフルーツトマト農家、安岡明彦さん(67)も販売が大事だと言う。県が進める「地産外商」を評価し、「県が農産物を熱心にPRしてくれて、農業も日の目をみるようになった」。ただ、個人農家への支援の比重が大きいと感じている。「質と量でブランドを長年けん引しゆう農協の部会も、県と自治体、農協が一緒になって支えてほしい」(竹内将史)

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