2019.11.19 08:36

2019高知県知事選 高知県の「現在地」 県政課題ポイント解説(5)

【少子化】産み育てられる環境を
 4559人―。2018年、産声を上げた高知県の赤ちゃんの数だ。出生数は1980年代に1万人を割り込み、2016年にはついに5千人を切った。

 一方で、女性1人が生涯に産む子どもの推定人数を示す「合計特殊出生率」は、2009年の1・29を底に緩やかな回復傾向にある。2018年は全国平均を上回る1・48だった。

 高知県は少子化対策として、出会いのきっかけイベントなどの婚活支援をはじめ、子育て支援、企業の育休取得推進などに力を入れてきた。合計特殊出生率の回復について、少子対策課の担当者は「ライフステージごとの施策に加えて、雇用創出や移住の取り組みが総合的に効果を上げてきたのでは」と分析する。

 ただ、長く続く少子化で子どもを産む20代、30代の女性人口は減り続けている。合計特殊出生率が上昇しても、「出生数が急激に増加することは当面難しい」という。

 「子どもはもっと欲しいけれど…」。県が昨年度行った意識調査からは、出産を諦める姿も浮かび上がる。「持ちたい子どもの人数」を問う質問では、理想とする人数の平均が2・29人だったのに対し、現実的に考えて予定する人数は1・93人に下がった。

 「子育てや教育にお金がかかり過ぎる」「職場環境が厳しく、仕事と家庭の両立が難しい」。理想と現実を隔てる理由には金銭面や働き方の問題に加え、「育児の心理的、肉体的負担に耐えられそうにない」という育児不安も上がる。

 県は、妊娠期から子育て期の家庭を切れ目なく支援する「高知版ネウボラ」を構築中で、相談や連携の窓口となる「子育て世代包括支援センター」は19市町村に設置された。センターを全市町村に広げ、全ての妊産婦と乳幼児、その家族とつながり、必要な支援に取り組む考えだ。

 「子どもを産まない方が問題」「3人以上産んで」…。少子化を巡っては女性に責任を転嫁するような政治家の発言がたびたび問題になるが、子どもを希望する人が安心して産み、孤立せずに育てられる環境づくりが対策の大前提だ。特効薬がないからこそ、個人の選択を尊重した地道な取り組みが求められている。(報道部・門田朋三)

関連記事

もっと見る



ページトップへ