2019.11.14 08:40

はっぴぃ魚ッチ 船長さんの愛のムチ 高知沖大物釣り

数々の試練を乗り越えて手にしたオオスジハタ
数々の試練を乗り越えて手にしたオオスジハタ
スパルタ指導の合間に、優しい表情も見せる森治道船長
スパルタ指導の合間に、優しい表情も見せる森治道船長
 遊漁船の船長には、さまざまなタイプがいる。その人柄が各船の魅力でもある。

 無口がいれば冗談連発も。次々にポイントを変える人、粘る人。掛かった魚を網ですくい針まで外してくれる船長と、反対に舵(かじ)を握ったまま見守る放任主義者もいる。

 さて先日、高知市沖でハタの大物を狙った。乗り込んだ「海治丸」の船長、森治道さん(41)は魚信編集部の間でスパルタ船長として知られている。

 海底付近で大物を掛ければ「おらぁ巻いて! 休むな~」。仕掛けがポイントに合っていないと「そんなんじゃ釣れんすよ。変えて!」と一喝。良型をばらそうものなら「俺もつらいわあ…」と感情たっぷりで嘆くのだ。

 がっちりした体格で遊漁船は自動車整備業との兼業。豪快な大物釣りで実績を上げ、最近は関東からも予約が入る人気ぶりだとか。

 秋晴れの空の下、水深80メートルほどのポイントに着いた。

 数分後、筆者の竿(さお)先がぐいっと引き込まれ、すぐにふわっと跳ね上がった。「来たか…」

 再び竿が曲がったタイミングで、一気にリールを巻いた。ハタ類は岩礁の間に潜られたら負け。最初が肝心だ。重い。大物か。

 …あれ?

 竿先が動かない。背後の操舵(そうだ)室から「そりゃ底よ。海の底」と冷ややかな声が飛ぶ。「根掛かりが分からんかったら釣れんわなあ」

 針を結んだ糸は約100キロの負荷に耐え得る強度だから、人力で引っ張っても怖いぐらい切れない。格闘の末、ようやく引きちぎって仕掛けを作り直し、気を取り直して餌を落とすも、また根掛かり…。

 折れそうな心をつなぎながら、ポイントをいくつか変えた後でドラマがやってきた。

 「ゴゴンッ」と、今度は明らかな生命感とともに竿が絞り込まれた。腕がしびれるほどの重みに耐えながら必死で巻き上げていると、「きたきたきたぁ~!」。

 隣から響いたのは船長の大声。10キロ超のオオスジハタを網に収めるやいなや、拳を突き上げまた吠(ほ)える。「しゃあ~! ほらあ、やっぱりおったろう!」

 ガキ大将がそのまま大きくなったような笑顔で喜ぶ船長。「釣ったのは私…」と突っ込む隙はない。あっけにとられつつ無邪気な姿を見ているうちに、こちらもうれしさが膨らんできて思わず握手を交わしていた。

 釣果の価値はサイズではない。けれど、あの重量感は圧巻だ。おまけにハタ類は鍋にも刺し身にも、言うことなしのうまさ。

 こうしてまた、スパルタ船長の“愛のムチ”を求めてしまうのだった。(本紙・ハチ)

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