2019.11.02 08:44

[ふれあい高新in三原村]中平商店「いつでも来たや」三原っ子見守り66年

「いつでも来たや」と笑う中平ちささん(三原村柚ノ木の中平商店)
「いつでも来たや」と笑う中平ちささん(三原村柚ノ木の中平商店)
 
「おばちゃん、給食のマスク忘れたっ」。高知県幡多郡三原村の三原中学校の真向かい。今朝も男児が「中平商店」に駆けてきた。親子2代で三原っ子の成長を見守り66年。中平ちささん(61)は笑顔で招き入れる。「よう来たね」

 昭和の雰囲気を残す6畳ほどの店。駄菓子のほか、学校で使うリボンやエプロン、文房具や生活用品がぎゅっと置いてある。棚には代々で読み継いできた「ドラえもん」「りぼん」などの漫画も。

 登校に合わせ朝7時には開ける。特に夏は水泳のタオル、ゴーグルを忘れた子に貸すため準備しておく。子どもが家路に着くのを見届けて閉店。定休日はない。

30年前の中平家。左からちささん、直さん、スヱ子さん
30年前の中平家。左からちささん、直さん、スヱ子さん
 店は1953(昭和28)年開業。満州から引き揚げてきた祖母の直(なお)さん=故人=がこの家を買い、母のスヱ子さん(86)が駄菓子屋を開いた。長女のちささんはこの自宅兼店舗で育ち、会社勤めなどを経て30歳ごろ店に戻った。

 みんなの思い出がぎゅっと詰まった店。三原中とその隣の三原小の子は下校時に駄菓子を食べ、漫画を読み、母娘とたわいない話で笑い合った。夏休みも自転車で乗り付けてきて、カップ麺を食べながら甲子園球児を応援した。

 時には寂しげな顔で来る子も。「友達とけんかした」「もう学校に行けん」―。夕暮れの店でぽつぽつと、時に涙目で打ち明けられる悩みも聞いてきた。「大丈夫やけん」「明日も来たや」

 子どもたちは村を離れても「中平のおばちゃん」に会いに来る。「車やバイクで『久しぶり』って。女の子は化粧で誰か分からんかったりね。でもすぐ思い出話になる。とっても幸せよ」

 数年前にスヱ子さんが倒れ、ちささんは介護をしつつ1人で店に座る。

 三原の子も減ってきた。「店は私の代で終わり。でも、やれるうちは閉めんよ。まだ何十年かやるつもりやけん」と笑顔。中平のおばちゃんは今日ものんびり子どもを待つ。

 「だから、いつでも来たや」(谷沢丈流)

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カテゴリー: 社会ふれあい高新2019主要社会幡多


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