2019.10.31 08:45

[ふれあい高新in三原村]星ケ丘公園 四季折々、山野草200種超

池に浸かり、スイレンの古い花や茎を除く矢野啓介さん=左=と、松岡圭助さん(写真はいずれも三原村宮ノ川)
緩やかな南向き斜面に広がる星ケ丘公園(佐藤邦昭撮影)
男性2人の愛情に咲く
 植物愛と、地道な作業の結晶―。幡多郡三原村宮ノ川の「星ケ丘公園」は県絶滅危惧種のヒメノボタンをはじめ、200種以上の山野草が育ち、四季折々に訪れる人の目を楽しませてくれる。可憐(かれん)な花々を咲かせているのは2人の男性。「来た人の笑顔で力がわく」。日々雑草を抜き、膨らむつぼみに語り掛ける。
 
 「かわいらしい。これがヒメノボタン?」
 
 年配の女性がそよ風を吸い込むように深呼吸し、小さな紫の花にかがみ込んだ。
 
 「そうです。今年は少し花が遅れたんで今が見頃ですよ」
 
 松岡圭助さん(67)=同村芳井=が汗をぬぐい笑顔で応じる。隣で公園リーダーの矢野啓介さん(80)=同村宮ノ川=が作業着姿で静かに見守る。
 
 女性は評判を聞き、松山市から訪れた。カメラ片手に園内を巡る別の女性は四万十市からの常連さん。星ケ丘は昨年、東京五輪に向けた「四国八十八景」に選ばれ、山野草の名所として県内外で定着してきた。
 
 公園を含む一帯の約27ヘクタールは1990年ごろ、県立病院(幡多けんみん病院)の建設予定地になっていた。ところが曲折を経て、県は隣の宿毛市での建設を決定。村は「予定地の跡地」に企業誘致や団地造成を進めた。
 
 矢野さんは2003年から、公園のなだらかな斜面に花を植え始めた。まだ至る所で土がごつごつと露出していた。自分の畑のあぜに咲くヒメノボタンから種を取り、乾かして妻とまいた。
 
 ヒメノボタンは環境の変化に弱い。枯れたり、花をつけなかったり。苗を育てる土をたき火で焼いて殺菌するなど、一歩ずつ育て方を改善してきた。
 
 「2、3年したらそこそこ咲いて、来た人が喜んでくれたのがうれしくてね」。10年前から「年間を通して楽しんでほしい」と野山の多様な植物を移植していった。
 
 そのうち訪問客から苗が持ち込まれるように。村の写真愛好家も広報を買って出て、園をPRし始めた。6年前からは農業仲間だった松岡さんも常勤になり、2人で汗を流すようになった。
 
 環境になじみ、すぐきれいな花をつける草もあれば、バイカオウレンや福寿草などは世話が焼ける。「野菜みたいに肥料をやったら太るもんやないけん」と矢野さん。数年前に植えたヤマハンショウヅルはまだ1回も花を咲かせない。
 
 「どうしても咲かせてみたい。そこに面白さがある」「だからやめれんなっちょう」
 
 2人が笑う。矢野さんは80歳を迎え、最近は草刈り機の操作が難しくなった。それでも毎日のように公園を訪れる。「もっときれいに咲かせたい。もっと多くの種類を植えていきたい」。山野草への愛は尽きない。(八田大輔)

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カテゴリー: 社会ふれあい高新2019主要社会幡多

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