2019.10.25 08:35

ふれあい高新in三原村 見晴らしの丘(1) 「禁断の酒」で交流爆発

11月3日のどぶろく祭りに向け仕込みが続く(三原村上長谷の「青空屋」)
11月3日のどぶろく祭りに向け仕込みが続く(三原村上長谷の「青空屋」)
 四方を山に囲まれた高知県幡多郡三原村。酒造りが禁じられていたころの風景が語り継がれている。
 
 「家の裏山に酒入りのかめを埋めてる家が多くてね」「税務署が時々来ては、かめを割って回る。なぜか、できのいい酒だけ『証拠品じゃ』いうて持ち帰って。ふふっ」
 
農家7軒が醸造するどぶろく7銘柄
農家7軒が醸造するどぶろく7銘柄
 盆地の村は昼夜の寒暖差が大きく、いいコメが取れる条件を備える。村人は良質な「三原米」を発酵させ、どぶろく造りにいそしんだ。明治期に禁じられてからも、“禁断酒”の歴史を紡いできた。
 
 15年前、この状況が一変する。構造改革を叫ぶ当時の小泉政権が特区を導入。三原村は2004年に「濁酒特区」が認められ、どぶろくは表舞台に躍り出た。
 
 国の条件は、コメ農家であること、民宿か食堂を営むこと。三原村内の3軒が手を挙げた。
 
 「両手広げてどぶろくが造れる。そら、やりたいわね」。上長谷で食堂「青空屋」を営む斉藤元紀さん(75)が笑う。妻の鈴代さん(73)も「コメの値段が下がるばっかりのころ。付加価値が欲しかった」と振り返る。
 
 現在、どぶろく農家は7軒(食堂2軒、民宿5軒)に増え、それぞれ「秘伝のレシピ」で製造。保存する温度や湿度で発酵の度合いも変わる。辛口から甘口までずらりそろった。
 
 2005年から三原村農業構造改善センターで「どぶろく祭り」も開始。できたてのどぶろくを求め、1500人の村に約4千人が集まるメイン行事に成長した。遍路客を中心に宿泊客も急増。1軒だった2008年度の22人から、5軒に増えた2015年度以降は900人を超す。
 
 「交流人口がぐっと増えた。特区が村の起爆剤になったのは間違いない」。当時は商工会長として認定取得に奔走した田野正利村長が振り返る。
 
 酒に歴史あり―。三原村にはきょうも、どぶろくの甘い香りがほのかに漂う。
 
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 10月30日からの「ふれあい高新」(11月3日まで)を前に、三原村の魅力を紹介します。(宿毛支局・新妻亮太)
 
 
11/3 どぶろく祭り 日帰りツアー開催
 幡多郡三原村で開かれる「ふれあい高新in三原村」期間中の11月3日、どぶろく農林文化祭などを楽しむ高知市発着の日帰りツアーが開かれる。
 
 午前8時20分、JR高知駅から貸し切りの新型ディーゼル特急で出発。平田駅からバスに乗り換え、11時半ごろに会場の農業構造改善センターに到着する。
 
 特産のどぶろくを使ったカクテルやお笑いコンビ「どぶろっく」=写真=の公演、近くの星ケ丘公園で見頃のリンドウなどを楽しむ。午後3時15分に出発し、7時46分に高知駅に戻る。
 
 旭駅、朝倉駅、伊野駅、佐川駅、須崎駅、窪川駅、中村駅から乗車可。昼食込みで1人9800円。問い合わせは高知新聞観光(088・825・4334=平日午前9時半~午後5時)へ。

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カテゴリー: 社会ふれあい高新2019主要幡多社会

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