2019.10.14 08:00

【台風19号被害】巨大化する災害まざまざ

 東京都の多摩川や長野県の千曲川、新潟県の信濃川、宮城、福島両県を流れる阿武隈川…。名だたる川から中小の河川まで、東日本で多数の河川が氾濫し、住宅街などが浸水した。
 一面に広がる泥水の海。テレビ画面に映し出される各地の光景に息をのむ。これだけ広範囲に、同時多発的に水害が発生したことが、かつてあっただろうか。
 台風19号による甚大な被害が広がっている。死者、行方不明者、負傷者が多数出ているが、被害の全容はまだ分かっていない。国、自治体は被害状況の把握と人命救助に全力を挙げてもらいたい。
 大型で猛烈な台風19号は中心気圧915ヘクトパスカル、最大風速55メートルという勢力で日本に接近した。最大風速54メートル以上で「猛烈な台風」とされる。さらに59メートル以上に相当する最強クラスが「スーパー台風」と呼ばれる。19号はそれに迫る強さだった。
 その後、若干弱まったものの「大型で強い」勢力のまま伊豆半島に上陸し、関東を縦断した。
 被害拡大の要因は猛烈な雨だ。
 神奈川県箱根町では12日の降水量が922・5ミリに達し、これまで国内最高だった馬路村の記録を超えた。このほか静岡県伊豆市や埼玉県秩父市など、多くの地点が観測史上1位の記録を更新している。
 いかにすさまじい豪雨だったかは、気象庁が大雨特別警報を13都県に出したことでも明らかだ。一度の災害では過去最多である。
 これに河川は持ちこたえられなかった。国土交通省によると、20を超える河川で堤防が決壊したほか、多くの川で水が堤防を越えて洪水が発生した。土砂崩れも各地で多発している。
 堤防の切れ目から濁流が住宅地に流れ込む。取り残された住民が2階の屋根の上から助けを求めている。複数の福祉施設などが浸水し、高齢者や障害者らが孤立するケースもあった。
 激流に阻まれて近づけなかったり、川の水位が高いままの場所では新たに堤防が決壊したりする恐れもある。警察や消防、自衛隊など関係機関が総力を挙げて、二次被害に注意しながら救出を進めてほしい。
 降雨で貯水量が増えたため、「緊急放流」を行ったダムもある。昨年の西日本豪雨では愛媛県で緊急放流の後、下流で浸水被害が起きた。今回はどうだったか。下流域への避難指示は適切だったかといった検証も必要だろう。
 近年、災害の「巨大化」「凶暴化」を実感することが多い。「数十年に一度の雨の降り方」といった言葉を頻繁に聞く。地球温暖化とともに、スーパー台風への警鐘も鳴らされている。
 これまで経験したことがないような災害がいつでも起こり得る。その時、どうやって命を守るか。巨大化する災害に応じて「備え」も強化しなければならない。その心構えが私たちに改めて問われている。

カテゴリー: 社説


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