2019.10.07 08:00

【かんぽ中間報告】首かしげる経営陣の姿勢

 かんぽ生命保険のずさんさが改めて浮かび上がった。
 日本郵政グループが、かんぽ生命保険の不正販売に関する調査の中間報告を発表した。過去5年間で顧客に不利益を与えた疑いがある約18万3千件のうち、保険業法や社内規定に違反した疑いのある契約が6300件余りあった。
 調査を終えたのは全体の4割弱で、最終的に違反は大幅に増えることが確実視されている。信頼回復への道は険しい。
 不正販売では保険の乗り換え契約の際、顧客が保険料を二重払いしたり一時的に無保険となったりした。6300件余りのうち法令違反の疑いは2割強の約1400件。具体的には顧客に虚偽の説明をしたり、不利益な契約であることを隠したりした事例が目立った。社内規定違反は、80歳以上の高齢者の勧誘などが該当するという。
 契約者の保護を軽視する企業体質が厳しく問われよう。調査期間が5年間なのは契約を復元する際、根拠となる病院のカルテの保存期間が5年だからだ。さかのぼれば不利益な契約件数は、一段と膨らむ可能性もある。
 事態の深刻さに比べて、経営陣の対応には首をかしげざるを得ない。
 かんぽ生命の植平光彦社長は今後の裏付け作業によっては法令違反の件数が減る可能性を示唆。「法令違反の規模は民間の保険会社と同じぐらいになるだけだ」と述べている。「世間によくあること」と言わんばかりの姿勢に驚く。
 日本郵政の長門正貢社長も「取締役会に全く情報が上がってきていなかった」と弁明する。しかしこの問題はNHKが1年以上も前から報道していた。早い段階で内部調査していれば、不正に気づく機会はいくらでもあったはずだ。
 日本郵政が実際に取った行動は逆だった。不正販売を報じた番組を巡り、「組織ぐるみでやっている印象を与える」とNHKに抗議。これを受けてNHK経営委員会はNHK会長を厳重注意した。番組側がネット上で情報提供を呼び掛けた動画も、結果的に削除させている。
 取材過程への介入を許した、と受け取られても仕方のないNHK側の対応に問題があるのは言うまでもない。一方、日本郵政の長門社長はNHKの番組について、「今となっては全くその通り。きちんと対応しないといけないと痛切に感じた」と述べている。
 「顧客本位」どころか、どこまでも「自分本位」な日本郵政のお粗末な対応は、厳しく批判されてしかるべきである。
 全容解明のため、書面による約3千万件の全契約調査も続いている。しかし契約者から戻ってきた回答は約68万件にとどまる。本当に不正は1件も見逃さないというのなら、契約者一人一人に対面して確認するのが筋である。
 12月末に公表予定の最終報告に向けて、誠実な調査を求める。

カテゴリー: 社説


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