2019.09.30 08:00

【中国建国70年】民主的な国に変わらねば

 1949年10月1日、国民党との内戦を制した中国共産党の毛沢東主席が中華人民共和国の建国を宣言した。
 それから70年。中国はあす、1年で最も重要な祝日とされる国慶節(建国記念日)を迎える。
 いまや国内総生産(GDP)で日本を追い抜き、中国は世界2位の経済大国に成長した。中でもIT産業は、国を挙げた支援で世界をリードしている。14億人を超える人口を抱え、中国経済の動向が世界の経済に大きな影響を与える。
 一方で、学生らの民主化運動を武力弾圧した30年前の天安門事件の後も、民主化を求める国民の意向や人権を無視した強権的な政権運営が続いている。
 習近平指導部は近年、真相解明を求める人権派弁護士や民主活動家らを次々に拘束するなど、事件を語り継いだり、政治改革を要求したりする動きを封じ込めている。
 国慶節前に習氏は「中華民族は偉大な飛躍の時を迎えた」と強調した。しかし、経済や政治で世界に影響力を持つ大国として、国民の人権をないがしろにするこうした状況はあまりにも情けない。
 建国100年となる2049年ごろには「社会主義現代化強国」になるとの方針も指導部は示している。「現代化」をいくら強調しても、国民の人権を守らない国が世界の信頼や信用を得ることはできない。
 国民の意見や不満にきちんと耳を傾けるとともに、政治や社会の仕組みを民主的に変革していくよう求めたい。
 70年間を振り返ると、ほぼ前半は計画経済の失敗と激しい権力闘争の時代だった。大きな混乱を社会にもたらした文化大革命も権力争いの中で起きた。
 1970年代後半以降は改革開放路線に徐々にかじを切った。だが、富める者から先に富む「先富論」の下で市場経済を取り入れた結果、貧富の差が広がってしまった。
 天安門事件の背景には、市場経済へ急速に移行する中で、貧富の差に加えて物価高騰や汚職まん延といった社会の混乱に対応できない政権への不満があった。
 その状況は今も変わっていない。
 インフラや金融の国有企業が巨大化し、国民の所得格差は拡大している。強制立ち退きや環境汚染に住民が抗議しても、体制批判は封じ込まれてしまう。習指導部になって「党と個人への権力集中が進んだ」とみる専門家がいる。
 日米や欧州、東南アジアとの関係が強まる中、中国だけの責任ではないにしても米中貿易摩擦など懸念要因も抱える。民主化を求める香港デモへの対応を含めて大国としての責任と自制を求めたい。
 国慶節では10年ごとに大規模な軍事パレードが行われる。今回は最新の大陸間弾道ミサイル(ICBM)などが公開されるという。軍事力でほかを威圧する国が果たして信頼されるだろうか。

カテゴリー: 社説


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