県内27市町村で保育副食費無料に 幼保無償化の対象外を独自助成

幼保無償化で、給食のおかず代の扱いが変わる(いの町内の認定こども園)

幼保無償化は消費税率の引き上げに伴う税収増を財源に、保育所、幼稚園、認定こども園などに通う3~5歳児の保育料を無料にする政策。ただし、これまで保育料に含まれていた給食の副食費は保護者負担になる。
県幼保支援課などによると、10月以降、保護者に副食費の負担を求めるのは7市町にとどまる。これまで多くの市町村が独自に予算をつぎ込んで保育料を減免してきており、ほかの27市町村は無償化によって必要なくなる“持ち出し分”を副食費の助成に充てるところが多いようだ。
吾川郡いの町は「第2子の保育料を半額か無料」「第3子以降を無料」とする減免措置を行ってきた。町として子育て支援を継続する考えから、副食費を無料にする。従来の減免より町予算は少なく済む見込みという。
安芸郡東洋町は0~5歳児の保育料を独自に無料化している。副食費を徴収すれば子育て支援の後退になるため「徴収は考えていない」という。
ただ、県のまとめで「副食費を無料にする」と回答した27市町村の中にも、「無料は保育所だけで幼稚園は徴収する」というところや、民間施設では一定額を保護者に負担してもらう可能性があるとした自治体もあった。
副食費を徴収する自治体には、財政的な事情があるようだ。高知市は対象者が多く、副食費を無料にした場合の必要予算は約2億7千万円と試算される。「財政的に踏み込むのは難しい」として、公立は月額4500円、民間は各園が設定する保育料負担を求める。ただ、幼稚園や保育所などに同時入所する第2子分を免除し、多子世帯の負担軽減を図る。
このほか、長岡郡大豊町は4500円を徴収するが、町内で使える商品券で全額還元する方針。
副食費を徴収する自治体の担当者からは「保育料は自治体が徴収していたが、副食費は各園で徴収することになり負担が増える。制度が複雑で国からの説明も遅く、事務作業や準備で疲弊している」との不満の声も聞かれた。(松田さやか)