2019.09.28 08:00

【原発マネー】闇の解明へ徹底調査を

 「原発マネー」の闇の深さを、まざまざと見せつけるような事態が発覚した。
 関西電力の八木誠会長を含む役員ら20人が、関電高浜原発が立地する福井県高浜町の元助役(今年3月に90歳で死亡)から、2011年からの7年間に計3億2千万円を受け取っていたという。
 このうち八木会長ら6人が計約1億8千万円を受け取っていたことが、金沢国税局による元助役に対する税務調査で確認されている。20人で3億円を上回る金品の受け取りは、報道を受けて関電が記者会見で認め、謝罪した。
 しかしこの会見では、多額の金品の受領を認めただけで、誰が何を受け取ったのかなど具体的な言及はないままだった。
 関電の岩根茂樹社長は、受け取った金品は「一時的に保管していた」と説明した。だが、それをまともに信じることは到底できない。元助役への税務調査をきっかけに、金品の全部や一部の返還を始めたのではないか。
 その上で、既に会長と社長は報酬減の処分を受けたとする。だが、それ以外の処分人数と内容は明かさなかった。これでは疑惑は深まるだけだろう。岩根社長は自身の辞任を否定したが、その判断も早すぎるのではないか。
 関電側に資金提供したのは、町の収入役に続き、10年余りにわたり助役を務めた人物だ。退職後も地元では関電に顔が利く実力者として知られた存在だったという。
 税務調査では、原発関連工事を請け負う地元業者から元助役に手数料名目で資金が渡り、元助役から関電役員らに資金が流れた二つのルートが判明している。
 関電の工事受注に絡んで地元の有力者に巨額の金が渡り、その一部が関電幹部のポケットに入ったのであれば、「私利私欲」との批判は免れない。関電側はこうした「原発マネー」の還流を否定しているが、根拠はなく説得力に乏しい。
 原発マネーの流れは複雑で、不透明だとの批判がある。現に高浜原発以外の立地地域でも疑惑が絶えない。国から自治体に交付される電源立地地域対策交付金や、補助金などを財源とする疑惑もある。
 原発マネーの闇を解明する、徹底的な調査が必要だ。
 まず第一には、関電が全ての面で不十分な今回の処理で終わらせず、第三者も入れた調査などを行い、公表することだ。
 菅原経済産業相は「事実であれば極めて言語道断。ゆゆしき事態だ」とした上で、「事実関係を徹底解明して、厳正に処する」と述べた。その言葉を実行に移す時だろう。
 そのことは関電と高浜原発の問題に限らない。ほかの電力会社と原発立地地域でも、あり得る話だ。
 電力会社と立地地域の関係は、国民に疑念を持たれるようなものであってはならない。この観点からいま一度、総点検をしてほしい。

カテゴリー: 社説


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