2019.09.25 08:00

【温暖化対策】少女の叫び受け止めよう

 地球温暖化に対処する「気候行動サミット」が国連本部で開かれ、77カ国が2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする長期目標を表明した。
 フィンランドは達成を33年まで前倒しすることも可能だとした。来年には温暖化防止の国際枠組み「パリ協定」が本格始動する。目標を確実に達成していきたい。
 開幕式では、スウェーデンの16歳の少女グレタ・トゥンベリさんが演説。温暖化が人や生態系にもたらしている影響に触れ、参加した各国の首脳らを痛烈に批判した。「あなたたちが私たちを失望させる選択をすれば、決して許さない」
 トゥンベリさんは、温暖化を巡り若者が授業をボイコットして抗議活動をする世界各地の運動の火付け役だ。今回、各国が対策強化を打ち出した背景には、こうした若者の声に応じた面もある。
 問題は、日本だ。
 温暖化対策も協議した6月の20カ国・地域首脳会議(G20サミット)で、日本は議長国だったにもかかわらず、米国などとともに77カ国には加わらなかった。
 出席も安倍首相ではなく小泉環境相で、演説の機会さえ与えられなかった。日本の立ち位置や国際的な評価が浮き彫りになった。
 日本はいまも二酸化炭素の排出量が多い石炭火力発電を重視する。京都議定書が結ばれた当時は温暖化対策の先導者だったかもしれないが、いまでは消極的な国と受け取られても仕方がない。
 パリ協定では日本は温室効果ガスを30年度に13年度比で26%削減する目標を掲げる。欧州などに比べ見劣りが指摘されてきたが、その目標でさえ実現性を疑問視する声がある。そこへ今回のサミットだ。遅れはより鮮明になったといえる。
 米国のトランプ大統領は温暖化対策に懐疑的で、パリ協定からも離脱を表明した。今回のサミットも姿を見せたものの、わずか14分程度で会場を後にし、発言もなかった。
 当初は欠席予定だったといい、世界最大の経済大国の無責任ぶりは明らかだ。日本がそんないまの米国と同列に扱われる事態になれば、嘆かわしい。
 「私たちは絶滅に差し掛かっているのに、あなたたちが話すのは金のことと、永遠の経済成長というおとぎ話だけ」「あなたたちが空気中に出した何千億トンもの二酸化炭素を、私たちの世代が、(現時点で)ほとんど存在していない技術で吸収することを当てにしている」
 トゥンベリさんが演説で批判した「あなたたち」には日本も含まれていると受け止めたい。
 世界的な傾向である異常気象は原因として温暖化が指摘されている。日本でもこれまでにない甚大な風水害が目立つ。千葉県などを襲った先の台風15号もその一例だ。
 人ごとではない。政府も企業も、わたしたち国民も対策に真摯(しんし)に向き合わなければならない。

カテゴリー: 社説


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