2019.09.20 08:32

中田耕一の墨絵展「和紙と墨の世界」 香美市立美術館で25点

展示した作品について説明する中田耕一=左(香美市立美術館)
展示した作品について説明する中田耕一=左(香美市立美術館)
 高知県高岡郡日高村在住の墨絵画家、中田耕一の作品展「和紙と墨の世界」が香美市土佐山田町の同市立美術館で開かれている。横7・5~6メートルの大作を中心に新作から旧作まで25点を展示。10月14日まで。
 
 中田は1956年吾川郡いの町生まれ。絵の道に進みたいと上京。働きながら日本美術会付属美術研究所に通い、デッサン、油絵を学んだ。帰郷後、古里にはいい和紙があるが、それで絵が描けないだろうかと試行錯誤。県紙業試験場(現・高知県紙産業技術センター)などの助言を受けながら、自作の墨絵に合う発色のいい土佐和紙を探した。また硯(すずり)もきめ細かい墨液が作れる三原村のものを使う。
 
「煙」
「煙」
 和紙と墨にこだわる理由を中田は「白黒の世界は、想像力が広がります。見た人の経験や体験によっていろんなものが見え、さまざまな感情が生まれるということです。技術的には紙に色を付ける難しさとかもあります」と話す。
 
 作品作りは「鳥獣戯画」などの模写を繰り返しながら独学で築き上げてきた。そして細部まで念入りに描かれているのも特徴。新作の「煙」は、夜中に工場から立ち上る煙をモチーフにした。漆黒の闇と煙の白のコントラストもさることながら、姿を変えていくかのような煙の姿に生命のようなものを感じる。
 
「地引網」
「地引網」
 「ビキニの被災船」「定期検査」「くじらの涙」など核を取り扱った大作も展示。マグロの廃棄、マグロの骨、クジラの骨などが描かれ、核の恐ろしさが伝わってくる。同時に核を取り巻く不安は核実験に止まらず、目に見えない部分でも起こっているのではないかと語り掛けている。
 
 一方で、地道に生きている市井の人々に柔らかな眼差しを注いだ作品も。「かやぶき職人」「目立て」「豆腐屋」などは生活感を出すため色を使う。海岸の漁民の姿を描いた「地引網」からは、黙々と働く人たちへの尊敬と温かい眼差しが感じられる。(池添正)

カテゴリー: 文化・芸能高知中央香長


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