2019.09.15 08:00

【H2B発射延期】日本の信頼損ねぬ対応を

 三菱重工業が運営するH2Bロケットの打ち上げが予定された11日、準備作業中に発射台で発生した火災が原因で延期となった。
 今回の打ち上げは、宇宙開発への民間参入を促す「宇宙活動法」が昨年11月に施行されて初めてのケースとなる。これまで日本のロケット運用を担ってきた宇宙航空研究開発機構(JAXA)に代わって、民間の三菱重工業が執行責任を負う。
 火災によるロケット本体への影響は軽微とみられるものの、今後の民間ロケットの運用は出ばなをくじかれた形となった。三菱重工業は早急にトラブルの原因を究明し、再度の打ち上げに確かな見通しをつけなければならない。
 H2Bロケットは今回、国際宇宙ステーションに食料やバッテリーなどの物資を運ぶ無人補給機「こうのとり」8号機を搭載している。打ち上げは鹿児島県のJAXA種子島宇宙センターで予定されていた。
 火災はロケットを発射する準備をしていた発射台の底部分で、ロケット発射時に炎や噴煙を逃がす穴の近くで起きたとみられる。JAXAによると、火災による打ち上げの延期は初めてという。
 火災現場を調査した三菱重工業によると、機体や発射台の損傷は軽微とみられ、火災発生から「1週間程度で再度の打ち上げに向けた整備が可能」という。ただ具体的な日程は未定のままだ。
 宇宙活動法では、民間事業者がロケットの打ち上げや人工衛星の管理などに責任を持ち、政府が許認可する。原因究明と並行して国に報告したり、新たな打ち上げ計画を作成したりするため時間を要する。もちろん安全確認に万全を期すためだ。
 ロケットの打ち上げは、国際的にも政府主導から民間移管へと進んでいる。欧米では既に商業用にロケットを運用する企業は多数存在し、中国も今年初めて民間企業によるロケット打ち上げに成功した。
 宇宙ビジネスに共通するのは、宇宙に衛星などを運ぶ顧客を拡大するためのコスト削減だ。日本も国際受注競争の渦中にある。
 その流れに乗って、国内の民間企業にも挑戦の機運が高まっている。半導体などの市販部品が安く高性能になってきたことが大きい。
 北海道の宇宙ベンチャー企業は今年、自社開発の小型ロケットを、宇宙空間とされる100キロ以上の高度に到達させた。このロケットには高知工科大学が開発した研究用機器が積み込まれていた。
 民間参入の効果が、地方の大学や企業にまで及ぶことは好ましい。ただ日本のロケット事業が国際的に評価されるのは、JAXAを中心に培ってきた、高い打ち上げの成功率に象徴される信頼性にある。
 大型のH2Bロケットの成功率はこれまで100%を誇り、H2Aも97・5%で国際水準の95%より高い。それだけに今回の火災は重大であり、三菱重工業には日本の信頼を損ねない対応が求められる。

カテゴリー: 社説


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