2019.09.13 08:00

【都市直撃台風】ライフラインの課題多い

 首都圏を襲った台風15号の影響が深刻だ。停電や断水、交通網まひなど、ライフラインのもろさが改めて浮き彫りになった。弱点を詳しく検証し、命を守る対策を急ぎたい。
 台風15号は9日午前に千葉市付近に上陸した。最大瞬間風速が同市の観測史上最高の57・5メートルを記録するなど、関東地方に上陸した台風ではこれまでで最強クラスだった。
 JR東日本が計画運休を早々に決めたほか、私鉄の多くも運休した。羽田空港を発着する空の便や高速道路網も乱れ、週明け月曜日の首都圏の市民生活は大混乱した。
 台風の通過後も千葉県を中心に大規模な停電被害が出た。風などの影響で複数の鉄塔が倒れ、多くの電柱が被害を受けたためだ。倒木や土砂崩れで道路が寸断され、東京電力などによる復旧作業は遅れている。
 千葉県内では50万戸以上が一時停電し、12日午後の段階でも完全復旧には至っていない。エアコンを使えない被災者が熱中症になる危険性が高くなり、熱中症とみられる症状でお年寄りが亡くなっている。
 電力各社の技術者らが応援に入って、人海戦術で送電網を復旧しているという。被災者の命に関わる緊急事態だ。一刻でも早く作業を終わらせてほしい。
 停電の影響はほかにも出ている。
 浄水施設などが停電のため動かなくなり、千葉県内だけで8万戸以上が断水した。徐々に復旧しているものの、多くの家庭でまだ水が止まったままだ。
 緊急時の情報を含めて多くの被災者が頼りにしたスマートフォンも充電できずに役に立たなかった。使い慣れた機器だけに、万が一の場合の充電機器などの必要性を多くの人が認識したのではないか。
 東電は、病院など公共施設には優先的に電源車を配置した。しかし、東京に近く、多くの人口を抱える地域だけに台数が足らない。電源車をもっと回すなどして、この事態に対応したい。
 昨年9月の台風21号では、近畿圏が大きな被害を受けた。関西電力管内で千本以上の電柱が折れ、延べ220万戸が停電したという。それを教訓に電力各社は応援態勢を確認したようだが、今回十分に機能しただろうか。その検証も必要だ。
 また、多くの電柱が風などで被害に遭ったのをみると、費用と時間はかかっても配電線の地中化をもっと進める必要があるのではないか。
 鉄道を中心に交通網が大混乱した影響で、成田空港に1万人以上が足止めされた。多くの外国人がいたが、情報がうまく伝わらなかった人も少なくないという。来年夏の東京五輪・パラリンピックには多数の外国人が来日する。多言語での情報伝達や、避難場所への誘導などいくつもの課題が見えてきた。
 停電や断水、交通網ストップ…。災害時のライフラインの弱さは都市部に限らず日本全体の大きな課題だ。行政、住民を含めて、そのことを再確認したい。 

カテゴリー: 社説


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