2019.09.11 08:00

【男性の育休】もっと取りやすい環境を

 男性の育児休業の取得率を「2020年までに13%」とする政府の目標達成は、このままでは恐らく難しいだろう。
 男性の育休取得率アップは女性の働きやすさにも直結する。取りやすい環境を自治体や企業など組織を挙げて整えていくしかない。
 都道府県の男性職員の育休取得率が17年度、平均で3・1%にとどまっていたことが分かった。政令指定都市7・0%、市区町村は5・5%で、それらを合わせた地方公務員の取得率は4・4%だった。
 04年度の0・8%から徐々に伸びているものの、国家公務員の10・0%(17年度)に比べるとまだまだ低い。年度は違うが、民間は6・16%(18年度)だった。
 育休制度は、最初の半年は賃金の67%、以降は50%が雇用保険から支給される。期間は原則1歳になるまでで、保育所が見つからないなどの事情があれば最長2歳まで延長できる。女性の取得率が8割を超えているのに対し男性は伸びない。
 男性の取得がなぜ進まないのか。
 正社員の男性への厚生労働省の調査(複数回答)で最多の理由は「業務が繁忙で人手が足りない」が3割近くを占めた。「取得しづらい雰囲気だった」も2割以上になった。取得率が低かった自治体アンケートでも最多の理由はほぼ同じだった。
 地方公務員の取得率が低い状況が続いているため総務省は7月、取得を促す通知を自治体に初めて出した。しかし、強制力はなく、どのくらい伸びるかは未知数だ。
 育児休業に限らず、日本の企業や自治体は誰かが休むとほかの社員らの仕事が増えたり、しわ寄せがいったりする傾向がある。
 政府が進める「働き方改革」は、そうした職場の根本的な課題を解決する道筋を示しているだろうか。誰もが働きやすい職場になれば、「育休を取得しづらい」といった雰囲気はおのずと解消するだろう。
 取得率を上げるには、自治体や企業の成功例は参考になる。
 3年連続で100%だった茨城県龍ケ崎市は市長が率先して取得した。それによって職員が取りやすい雰囲気になった。育休経験者を子育て部門に異動させるなど、まちづくりにも積極的に生かしているという。
 大手企業の中には部下の取得状況を上司の人事評価に反映させるなど、組織を挙げて取得率を高める動きもある。厚労省は来年度、積極的に育休に取り組む企業への助成制度を拡充する方針だ。中小企業などへのバックアップは手厚くする必要がある。
 政府目標「13%」といっても、北欧などに比べると国際的に低い数値だ。出産後も元の職場などで働きたい女性は増えている。「仕事は男性、子育ては女性」という古くからの意識は徐々に変化している。
 男女を問わず、休みが取りにくい組織は人材の確保が難しい―。そんな時代に入ったことを官民で再確認したい。

カテゴリー: 社説


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