2019.09.05 08:00

【ふるさと納税】国と地方で利点の共有を

 ふるさと納税の新制度を巡り、国の第三者機関「国地方係争処理委員会」は、大阪府泉佐野市を除外した決定を再検討するよう総務相に勧告した。
 地方税法改正で6月に始まった新制度は過度な返礼品について調達費を「寄付額の30%以下の地場産品」―などとする基準を設けた。
 この「ルール」自体は法改正前に総務省が自治体に通知していた。勧告などでは、ルールを守るよう求めた通知に法的な拘束力はなく、新制度は過去の行為を罰するのが目的ではないなどとした。
 ルールに従わなかった泉佐野市など4市町が新制度から除外されたが、泉佐野市はそれを違法だとして係争委に審査を申し出ていた。
 泉佐野市を除外した決定そのものは取り消されなかったが、除外理由が不当とする市の主張はおおむね認められた。国が事実上の「敗訴」となる異例の決定だ。
 国が自治体を規制する際の公平性や丁寧なプロセスを欠いた点、さらに除外という強権的な手法に係争委として警鐘を鳴らした形だ。
 ただ、泉佐野市側の「勝訴」だとしても、市側の取り組みにも問題があったのは明らかだ。
 総務省によると、2018年度の寄付額は前年度に続き泉佐野市が全国1位だった。「3割規制」に応じず、インターネット通販大手「アマゾン」のギフト券などを贈るキャンペーンで約500億円を集めた。
 2~4位も静岡県小山町、和歌山県高野町、佐賀県みやき町と新制度から除外された自治体が占めた。4市町の合計は1100億円を上回り、全体の2割を超えた。飛び抜けた寄付集めの実態が分かる。
 制度の本来の趣旨は、地方を離れて都市部に就職した人が地元に恩返しをしたい▽興味がある自治体の活性化に貢献したい―そうした思いを寄付の形で実現するものだ。
 地域活性化という本来の趣旨からもギフト券はやはり外れている。多くの自治体は、地元で開発した地場産品を返礼品にしている。地域色がないギフト券に違和感を持った自治体は多いはずだ。
 制度がスタートした08年以降、過度な返礼品で多額の寄付を集める自治体が増えた。地方創生の一環として国が寄付上限を2倍にしたことも競争を激化させた。財政事情が悪い自治体が寄付集めに血道を上げたのもそうした事情がある。
 そもそも税の仕組み上、住んでいる自治体に住民税を納め、行政サービスを受けるというのが本来の姿だ。受益者負担の原則からも、この制度は最初から矛盾を抱えていた。
 今回の勧告を受けて総務省が除外を見直すことになれば、残る3町にも影響が及ぶ。一方で返礼品の開発などで新たな雇用が生まれるなどメリットを感じている自治体は多い。
 制度には矛盾があるが、そのメリットを国と地方の全体で共有して活性化につなげる。そうした歩みを期待したい。

カテゴリー: 社説


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