2019.09.04 08:00

【10代の低投票率】粘り強く主権者教育を

 7月の参院選徳島・高知選挙区で高知県の18、19歳の投票率が24・58%にとどまったことが分かった。
 選挙権年齢は2016年から18歳以上に引き下げられた。
 最初の16年参院選は、合区の影響もあって県全体の投票率が全国最低になり、10代投票率も30・93%と全国最低に沈んだ。17年衆院選も34・03%でワースト4位に終わった。
 今回の参院選は全国的にも過去2番目に低い48・80%だった。とはいえ、県内の10代投票率が全国最低だった16年からなお6ポイント余り低下したのは残念というほかない。
 初めての投票経験は重要で、その後の習慣として身につきやすいとされる。4人に1人しか選挙に行かない現状を何とか改善する方策を探さなければならない。
 限られた財源を分配する政治において、高齢層と比べて世代人口の少ない若者には「選挙に行っても変わらない」という諦めがあると指摘されている。
 ただ、今回の参院選も老後2千万円問題が火を付けた年金や、消費税増税など若者の将来に関わる論点があった。10代は当事者であり、沈黙していていいはずがない。
 政治は生活に直結する「自分のこと」、「動かなければ変わらない」と考えられるような主権者教育に粘り強く取り組む必要がある。
 「18歳選挙権」が施行されて以降、県内でも政治や社会参画をより具体的に考える主権者教育の充実が模索されている。
 県教委の指定校となった県立高校では、行政への政策提言や地域課題の探究などを展開。県への政策提言に向けて、県議との意見交換を取り入れる高校も出ている。
 17年衆院選では指定校の高校生の投票率が、県内の10代投票率を大きく上回ったという。選挙の制度や方法論にとどまらない教育を広げ、深めてほしい。
 これまで3回の国政選挙では、高校を卒業した19歳の低投票率も明らかになっている。7月の参院選でも県内の18歳は28・86%に対し、19歳は20・09%だった。
 19歳は実家に住民票を置いたまま進学先で暮らす学生らが多いためとみられる。住民票のある自治体に投票用紙を請求する不在者投票制度もあるが、投票率の向上へ工夫する余地があるのか、検討、整理がされていい課題だろう。
 むろん低投票率の原因は有権者側の責任だけではなく、政治の説明責任の欠如もあろう。
 例えば、公的年金財政の「財政検証」の公表が大幅に遅れたのは、参院選で火種になることを嫌う首相官邸や与党に厚生労働省が配慮したとの見方がくすぶる。選挙戦での具体的な論戦を避けるような政治がまかり通れば、有権者は政策課題を深く考えることができない。
 投票率が50%を割るような選挙では、当選した議員は国民の代表としての正当性を疑われかねまい。政治の側も危機感を持つべきである。

カテゴリー: 社説


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