2019.09.04 08:00

小社会 まぐろ土佐船

 「ボッボッー」と汽笛が鳴る。高知市五台山のタナスカ岸壁。遠ざかる船に向かって幼い子が声を張り上げた。「じいじ、ばいばーい」。さっきまで船長の腕に抱かれていた4歳の女の子だ。

 取材した同僚から聞いた。港の別れにはもの悲しさが漂うが、今回はそれだけじゃない。出航したのは県内で18年ぶりに新造された2隻の遠洋マグロはえ縄漁船のうちの1隻。室戸市の「第78合栄丸」(497トン)。紙面からもどこか華やかな雰囲気が伝わってきた。

 合栄丸と聞いて思い出したのは、ノンフィクションの「まぐろ土佐船」。斎藤健次さんが昭和50年代にコック長として乗り込み、体験をつづった。新船はその後継船だが、最新鋭の計器を搭載し居住区や食堂の快適さも増した。乗員の多くはインドネシアの若者だ。

 「先代」とは様変わりしたものの、地球の端から端まで荒海を行く、「板子一枚下は地獄」の過酷さに変わりはあるまい。資源の減少や燃料高騰、規制強化の逆風も吹く。だが新船を建造できたのも厳しい資源管理のおかげ。

 大西洋のクロマグロが多く釣れるようになり、経営が安定してきたからだという。衰退の一途だった遠洋マグロ漁に一筋の光が見えてきた。

 上質のマグロを追う土佐船は「シケでも絶対に逃げん」と言われた。合栄丸の船主も「室戸のマグロ漁の灯は消さない」。海に生きる男たちの意気地は脈々と受け継がれている。


9月4日のこよみ。
旧暦の8月6日に当たります。きのえ たつ 八白 先勝。
日の出は5時41分、日の入りは18時28分。
月の出は10時47分、月の入りは21時54分、月齢は4.7です。
潮は中潮で、干潮は高知港標準で3時02分、潮位54センチと、15時12分、潮位78センチです。
満潮は9時19分、潮位180センチと、21時14分、潮位186センチです。

9月5日のこよみ。
旧暦の8月7日に当たります。 きのと み 七赤 友引。
日の出は5時42分、日の入りは18時27分。
月の出は11時51分、月の入りは22時35分、月齢は5.7です。
潮は小潮で、干潮は高知港標準で3時52分、潮位59センチと、15時52分、潮位99センチです。
満潮は10時18分、潮位163センチと、21時48分、潮位175センチです。

カテゴリー: 小社会コラム


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