2016.02.16 13:41

小社会 日本は子どもの楽園である―。明治期、東洋の島国を…

 日本は子どもの楽園である―。明治期、東洋の島国を訪れた多くの外国人がそう感じている。1878(明治11)年、東北から北海道まで踏破した英国人女性、イザベラ・バードもその一人。

 村々では早朝、子どもを1カ所に集めて大人が見守る中で遊ばせたり、子どもの体格や知恵を自慢し合ったり。仕事を終えれば英国人のように酒場などには向かわず、真っすぐ家に帰り子どもと一緒に食事をする。

 〈私は、これほど自分の子どもをかわいがる人々を見たことがない〉。「日本奥地紀行」にそう記したバードが、それから140年近くたった現在の日本を見たらどう思うだろう。

 保育所に防音壁を設置する費用を政府が補助する、と先日の本紙が報じていた。園児の声を「騒音」と感じる住民と、トラブルになるケースがあるためだ。高い防音壁で取り囲まれた県外の施設の写真は何とも寒々しかった。

 母親が電車やバスにベビーカーを持ち込むことの是非が問われたのも記憶に新しい。子育てを「遮断」するような社会が行き着く未来とはどんなものか。少子化に悩む日本。子どもに厳しい国で果たして子どもは増えるだろうか。

 世界をリードする大英帝国と、貧しいけれど家庭のささやかな幸せを慈しむ日本と、どちらの暮らしが豊かなのか。バードは比べたに違いない。同じように考えてみる。明治からこのかた日本は一体どれほど進歩したのだろう、と。
カテゴリー: 小社会コラム


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