2019.08.31 14:35

自らも患者 高知市の田所医師が「寄り合い所」開設へ

「温かい雰囲気の場所にしたいね」と話す田所園子さん=左=と北川信子さん(高知市福井扇町)
「温かい雰囲気の場所にしたいね」と話す田所園子さん=左=と北川信子さん(高知市福井扇町)
がんの苦しみ 受け止める場を
 「誰にも相談できない」「正確な情報が欲しい」「どうして、私が」―。がん患者の不安や苦しみを受け止める場所をつくろうと、高知市の女性が奔走している。医師として、がん患者として。 

 高知市福井扇町の住宅地にある2階建ての一軒家。壁紙を貼り替えたばかりの居間に夏の日が差す。

 「ここに来たら道が見えるような、気持ちが楽になるような場所にしたいんです」

 緩和ケア医の田所園子さん(50)がはつらつとした声で話す。この家を、がん患者や家族らの「寄り合い所」にしたいという。

なりたくなかった
 田所さんは愛知県出身。旧高知医科大を卒業し、麻酔科医として高知市内で働いた。

 3人の子どもが全員小学生になり、仕事を増やそうかと考えていた41歳のころ。検診で子宮頸(けい)がんが見つかった。

 「まさか、検査結果を別の人と取り違えたんやろと思って。『私じゃないと思います』って」

 治療や後遺症で自分の生活が一体どうなるのか。主治医の説明では分からないことも多かった。患者会やサロンにも足を運んだが、望んでいたような居場所はなく、不安と孤独感ばかりが募った。

 インターネットで体験談を募り、1人ずつにメールで問い合わせた。どんな治療をしたのか、なぜそれを選んだのか、治療後の生活は…。その数は400人に上った。食い入るように返信を読み、手帳に書き取った。

 診断から約2カ月。自分なりに納得し、県内の病院で受けた手術は成功した。重い後遺症はなかったが、尿意を感じることはできなくなった。

 9年たった今も3、4カ月に一度の検査を受けなければならない。「がんになりたくなかった。いつもそう思っています」

怒る遺族の声
 がん患者になってからは、医療現場に違和感を抱くことが多くなった。患者の声が医師に届いていない、と。...

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