2019.08.27 08:45

テレワークが障害者に光 高知県内でも増 訓練業務の獲得課題

自宅でテレビ会議システムを使って作業所の仲間と話す上田健人さん(四万十市津蔵渕)
自宅でテレビ会議システムを使って作業所の仲間と話す上田健人さん(四万十市津蔵渕)
 障害者の新しい働き方として「テレワーク」が注目を集めている。通勤できなくても自宅などで働ける。高知県内でも少しずつ取り組む人が増えており、希望の光になっているという。 

 四万十市の山あいの集落。自宅で電動車いすに乗った上田健人さん(21)=四万十市津蔵渕=が出迎えてくれた。1階の洋室の一角に、机とノートパソコンが1台。ここが上田さんの“仕事場”だ。テレワーク雇用を目指し今年1月、訓練業務を始めた。あくまで「訓練」で雇用契約はないが、報酬のある業務だ。

 働くのは平日週3日の午前9時~午後3時で昼休憩は1時間。業務は東京の企業の顧客管理リストチェック。顧客企業の所在地や連絡先などに変更がないか、インターネットなどを使って確認、修正する。マウスを使い、すいすいと文字を入力。「初めは時間がかかっていたけど、今はすっかり慣れました」

■8人挑戦中
 上田さんは高校3年の夏に、海の事故で脊髄を損傷。首から下は左手しか動かせない。県外でリハビリ中にテレワークを知り、今年、四万十市西土佐津野川のNPO法人「ぴーす」を利用して訓練を始めた。テレビ会議システムを使い、北海道や東京で開催される就職に向けた自己分析講座なども受講してきた。

 「『来てください』だったら、無理だった」と上田さん。「自分は変わったと思う。障害を受け入れて、この先どうするのか考えるきっかけになった」

 中井創さん(39)=四万十市渡川1丁目=は、今年2月に訓練業務を始めた。病気の影響で視野狭窄(きょうさく)を発症し、車を運転できなくなった。「いい求人があっても通えない。ハローワークにバスで通いながら、あきらめも感じていた。テレワークは希望になる」と笑顔を見せる。

 高知県は2018年度から作業所を対象にテレワークの就労支援事業を行っており、四万十市の「ぴーす」と高岡郡四万十町の「しまんと創庫」では計8人が訓練中だ。

■人材売り込む
 7月末。高知市で開かれた障害者向け就職説明会に、東京都の会社「パーソルチャレンジ」の井上雅博社長(50)が参加していた。障害者と企業とのマッチングなどに取り組むが、「障害者雇用の需要は大都市圏に集中。大都市圏では人材不足になっている」とする。

 大きな企業(従業員45・5人以上)では障害者の雇用が義務づけられているが、16年度の厚生労働省の集計によると、求人の充足率は東京や愛知で3割程度、大阪で4割程度。そこで「地方の人材を求める企業が増えている」という。

 ただテレワーカーとして就労するには訓練の場が必要。県内では、その訓練業務を、大都市圏の企業からどうやって取ってくるかが課題となっている。「ぴーす」のサービス管理責任者の中脇由紀さん(56)は「今はコンサル会社に頼り切りの状態。作業所だけで見つけるのは難しい」と話しており、支援拡充を求める。

 訓練を続ける上田さんと中井さん。ともに「前向きになった」と声をそろえ、訴える。「テレビ会議や音声入力など働く環境が整えば、障害があっても働けると知ってほしい」(幡多支社・平野愛弓)

カテゴリー: 社会医療・健康ニュース


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