2019.08.19 08:00

【食料自給率最低】食の安全保障が危うい

 2018年度のカロリーベースの食料自給率が、再び過去最低の37%となった。
 前年度より1ポイント低下し、1993年度に並んだ。この年は異常気象でコメが記録的な凶作となって不足し、外国米が緊急輸入された。「平成のコメ騒動」と呼ばれた年と同じ落ち込みようだ。いかに低水準かが分かる。
 政府は2025年度に45%に上げる目標を掲げているが、達成は遠のいたと言わざるを得ない。
 食料自給率は1960年度に79%と高かったが、コメ離れなど食生活の変化とともに低下。20年以上、先進国で最低水準の40%前後で推移してきた。
 過去最低に並んだ原因について、農林水産省は天候不順で小麦や大豆の国内生産量が大きく減少したためとする。しかし自給率の長期低落傾向を踏まえれば、日本の食料生産基盤が依然としてもろいためとみるべきだろう。
 農業従事者は2010年の205万人から19年には140万人まで減った。平均年齢は66歳を超えている。国は生産性を上げるため、遊休農地を集めて大規模化を目指す農家や企業に貸し出す事業も行っている。しかし中山間地域を中心に、集積はなかなか進まないのが実情だ。
 一方で環太平洋連携協定(TPP)や、日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)が発効。海外から安い農産物の流入拡大が想定されることも、自給率アップを難しくさせる要因となろう。
 だからといってこれ以上、低水準のままにしておくことはできない。
 自給率を品目別(重量ベース)で見ると小麦は12%、大豆は6%。現状でもほとんどを輸入に頼っている。輸出国が凶作となった時など、これまで通り安定的に確保できるのか。食の安全保障の観点から問題が大きい。
 実際、国連の機関は地球温暖化による干ばつなどの増加で、50年に穀物価格が最大23%上がり、食料不足や飢餓のリスクが高まると予測している。輸入頼みは危うい。政府はより一層、危機感を持って自給率を高めなければならない。
 17年度の本県の食料自給率は、前年度より2ポイント高い48%だった。中山間地域が多い本県では、農地の集積や担い手育成の困難も多い。そんな中でも、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)を活用した省力化、生産性向上の取り組みが進められている。
 熟練農家の生産技術をデータ化して新規就農者がノウハウを学んだり、水田の水位などを管理できるシステムを導入したり。そうした「スマート農業」の推進も、農家の減少や高齢化による労働力不足を補う一助となろう。
 人口減少が続いて国内消費に限界があるなら、農産物の輸出もさらに伸ばしていく必要がある。食料自給率の向上へ、あらゆる観点から対策を講じたい。

カテゴリー: 社説


ページトップへ