2019.08.17 08:00

【夏のスポーツ】選手と指導者守る知恵を

 猛暑の時期に集中する高校スポーツの過酷さに対する問題意識が競技の枠を超えて広がっている。選手が故障なく、より良いパフォーマンスを発揮できる環境を考えたい。
 沖縄県で開かれた全国高校総体のサッカー男子で、優勝校は6日間で5試合を戦った。近年の猛暑が「災害」と表現され、熱中症の危険性が再認識されている中での過密な試合日程に驚く。
 決勝に進出した2校の指導者はそれぞれ「選手の疲労度は半端ではない」「この暑さでの試合は殺人的」と警鐘を鳴らしている。
 大会側もハーフタイムの延長など最大限の対策を施した。とはいえ、現場に「殺人的」の声がある以上、抜本的な見直しが必要だろう。
 高体連サッカー専門部は北海道での2023年大会以降、冷涼地での固定開催を模索しているという。安全にプレーできる「選手第一」の改革は急いでほしい。
 今年も甲子園球場で熱戦が続く夏の高校野球のあり方も曲がり角にきているようだ。
 岩手大会決勝で大船渡の最速163キロのエース、佐々木朗希(ろうき)投手が出場を回避し敗退した。「聖地」を目前に、故障防止を理由にした監督の決断は賛否両論を呼んだ。
 この騒動も背景には過密日程がある。大船渡は終盤の5日間で4試合を戦う日程だった。学校には登板回避への抗議が殺到したが、成長途上の佐々木投手を一番近くで見てきた監督の判断は否定できまい。
 もとより高校球界では、投手を故障から守ろうという意識が年々高まっている。
 昨年12月には、後に見送ったものの新潟県高野連が春季新潟大会で投球数制限の導入を表明した。その流れから、日本高野連は今年4月に「投手の障害予防に関する有識者会議」を発足させている。
 既に全国大会で一定の日数の中で投げられる球数の制限を答申に盛り込むことを決定。9月には具体的な日数や制限数が検討される。
 ただ、それだけで十分かどうか。球数制限は意義があるとしても、過密な日程を勝ち進むには複数の投手が必要になる。有識者会議では、少人数のチームや公立校が不利になるという心配も出ている。
 新潟県高野連の幹部は、過密日程の解消を念頭に「6月下旬から地方大会を始めるのも手だと思う」としている。スポーツ庁の鈴木大地長官も「故障なく精いっぱい戦うことが重要」とし、日程の見直しを含めた対策の必要性を指摘している。
 やはり、地方大会からの試合日程を含めた総合的な対策が必要ではないか。学校行事との絡みなど課題はあるだろう。だが、選手たちがより良い体調で、公平に、悔いなく戦えるような環境を優先したい。
 過酷な条件下、選手や指導者が過度な負担や苦渋の決断の責任を背負い込むのが現状なら改善したい。主催者の明確なルール作りが選手や指導者を守ることにつながる。
カテゴリー: 社説


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