2019.08.06 08:38

「安芸駅ぢばさん市場」地味に好調 高知県内の直販所売上高2位

多くの買い物客が訪れる「ぢばさん市場」 (安芸市矢ノ丸4丁目)
多くの買い物客が訪れる「ぢばさん市場」 (安芸市矢ノ丸4丁目)
立地不利でも5億円維持
 高知県安芸市の「安芸駅ぢばさん市場」が“地味にすごい”。2017年は約49万人がレジを通り、売上高5億1800万円は、県内33市町村に145店ある農水産物直販所の中で堂々の2位。だが、幹線道から外れた目立たない立地だけに、ぢばさん市場関係者さえ「えっ! うちが?」と驚く。

 高知県農業振興部の調べによると、2017年の売上高1位は「とさのさと」(高知市南川添の旧店舗)で約7億8千万円。3位が「サンリバー四万十」(四万十市、約4億円)という順位が5年間続いている。

 人口の多い高知市、全国区の観光地という強みがある四万十市はともかく…。「ぢばさん市場」を運営する安芸市観光協会の小松身伸(みのぶ)事務局長(40)は「うちは地の利があるとは言えない。知名度も高くない。目玉商品があるわけでもない」と「ない」を連発する。

 ぢばさん市場の売り場面積は約344平方メートルで、「とさのさと」(約600平方メートル)や「サンリバー四万十」(約900平方メートル)より一回りも二回りも狭い。

 ごめん・なはり線安芸駅に隣接してはいる。ただ、国道55号から北へ約200メートルの奥まった立地。国道を行き交う車からその姿は見えない。駐車場は2カ所に分かれて計54台。ごめん・なはり線利用客と兼用のため、市場の客が利用できるのは半分程度という。

 それでも2002年7月の開業以来、売上高は右肩上がり。当初は年間2億円余りだったが、2005年に3億円、2008年に4億円、2015年には5億円の大台に乗せた。

 なぜここまで好調なのか? レジに並ぶ利用者からは「野菜が安くて新鮮」の声が上がるが、それだけではないはずだ。市場の魅力を探った。


豊富な品ぞろえの「ぢばさん市場」の弁当、総菜コーナー(安芸市矢ノ丸4丁目)
豊富な品ぞろえの「ぢばさん市場」の弁当、総菜コーナー(安芸市矢ノ丸4丁目)
「普段使い」の身近さ強み 弁当豊富で高い集客力
 安芸市の「安芸駅ぢばさん市場」は2018年、5億200万円を売り上げた。これで4年連続の5億円台。好調の秘訣(ひけつ)を探りに売り場を訪れると、県内のほかの農水産物直販所とは違った強みが見えてきた。


■観光に頼らず
 幹線道から外れた市場周辺。車はさほど通らず、自転車や徒歩で店を訪れる客も多い。ここに、第1の強み「普段使い」が見える。定休日はなく、営業は午前7時~午後7時半。安芸駅ぢばさん市場担当者は「客は土、日の方が多いけど、平日もそれほど落ちない」と証言する。

 対して、売り上げ県内3位のサンリバー四万十(四万十市)は「観光客が少ない平日は客が7割程度に落ち込む」。安芸郡田野町の田野駅屋も「うちは国道沿いという“地の利”が99%。室戸市方面への観光バスが止まるかどうかで、売り上げは大きく上下する」と話す。

 「普段使い」と言えばスーパー。ぢばさん市場から約100メートル西にはマルナカ安芸店がある。客の奪い合いにはならないのか?

 答えは、「両店をはしごするお客さんが多く、共存共栄です。マルナカが改装で休業した時は、うちの客足もガクッと落ちた」(ぢばさん市場担当者)。

■競争で品質向上
 第2の強みは「豊富な商品」だろう。分かりやすいのが安芸市特産のジャコ。6業者が納入し、売り場は約3メートルにもわたる。ぢばさん市場は「一口にジャコと言っても干し方、塩加減はさまざま。多様なニーズに対応できている」と胸を張る。

 野菜は農家のほか、家庭菜園で栽培しているお年寄りらも持ち込む。ある平日、納入時間の午前6時前には約20人の出品者が列をつくっていた。商品の置き場所は早い者勝ちで、よく売れる棚を狙っているという。家庭菜園から出品する女性は「ナスが少なくなってきたき。今出したら売れる」とにやり。この「競争」が、第3の強み「高品質で安い」につながる。

■コンビニ顔負け
 野菜や魚介類以上の存在感を放つのが、市内の飲食店や鮮魚店31業者が出品する弁当や総菜、パンなどの加工食品。コンビニ顔負けの品ぞろえで、常連客を飽きさせない。

 県内直販所で4位の売上高3億4千万円を誇るキラメッセ室戸「楽市」(室戸市)も総菜や弁当に力を入れているが、売り上げに占める割合は約20%。ぢばさん市場は33%とこれを上回る。

 高知県農産物マーケティング戦略課の担当者は「弁当や総菜が充実している店は経営が安定する傾向がある。ぢばさん市場の品ぞろえの豊富さはほかにない。それが集客力を高め、海産物や野菜の売り上げアップにも貢献しているのでは」と分析する。

 安芸駅ぢばさん市場への商品納入条件は「安芸市産」であること。価格設定は生産者の自由だ。地域の生活に溶け込み、「地産地消」の好循環を拡大するぢばさん市場。運営する市観光協会の小松身伸(みのぶ)事務局長(40)は「売上高県内2位という結果は励みになる」と喜ぶ。

 一方で今後は、周辺の人口減が悩みの種。小松事務局長は「経営安定のためには、ネット通販や魅力的な加工品開発にも取り組む必要がある。観光面のアピールも増やし、市外からの誘客を増やしていきたい」。「地産外商」の拡大もしっかり狙っている。(安芸支局・森部智成)

カテゴリー: 政治・経済主要安芸

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