2019.08.04 08:00

【日韓対立】関係改善の糸口探らねば

 貿易や産業活動への影響にとどまらない。市民同士の交流にも影を落としている。東アジアの隣国、日本と韓国の関係が悪化すればするほど不利益は互いの国民にふりかかる。
 糸の絡み合った今の状態を解きほぐしたい。日韓両政府はあらゆる外交チャンネル、交渉の場を通して関係を修復すべきだ。
 日本政府は安全保障上の輸出管理で優遇措置を取る「ホワイト国」について、韓国を除外する政令改正を閣議決定した。半導体などの製造に必要な材料3品目の韓国向け輸出管理を厳格化したのに続く第2弾だ。
 予想されたとはいえ、即座に韓国は強く反発した。文在寅(ムンジェイン)大統領は「非常に無謀な決定」と非難し、対抗措置として韓国の「ホワイト国」からの日本除外を表明した。世界貿易機関(WTO)に提訴する準備も加速するという。
 韓国では昨年、植民地時代に日本に動員された元徴用工について、最高裁が日本企業に賠償を命じた。日本は仲裁委員会の開催を求めたが韓国は応じず、その後、輸出規制を強化した。ホワイト国除外で優遇措置の除外対象は千品目以上に拡大する可能性がある。
 文氏の今回の反発に日本政府は安全保障を目的にした正当な措置として取り合わない方針だ。文氏は「盗っ人たけだけしい」などと日本への非難の口調を強めている。
 文氏にはまず冷静さを求めたい。日本も静観するのではなく、「貿易管理で韓国側に不適切な事案があった」とする中身を明らかにし、交渉で韓国側にきちんと是正を要求すべきだ。
 こうした状況で気になるのは安保上の問題だ。大統領府関係者は日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の継続に含みを持たせる発言をした。北朝鮮が短距離弾道ミサイルを最近相次いで発射した。仮に破棄となれば、安保上の協力関係に大きく影響する。
 中国軍機と合同パトロール飛行していたロシア軍機が先月、島根県・竹島周辺の領空を侵犯した。この時期の侵犯に日韓の緊張をさらに高める狙いがあるとの見方がある。米国を中心とした北東アジアの安保体制を弱体化させる目的を指摘する声もある。いずれにせよ日韓のぎくしゃくした関係は安保上問題がある。
 関係改善の糸口を期待した日米韓の外相会談がバンコクで開かれた。しかし、米側は日韓の対立緩和を求めただけで、具体的な仲介案は示さなかった。どちらかに肩入れしたと捉えられたくない米国に期待するのもやはり無理がある。 
 日本製品の不買運動が韓国で起きたり、日本の地方空港からの航空路線が運休したりと関係悪化の影響が出始めている。本県の高知国際中学も、生徒の安全確保面で研修旅行を中止した。
 「ホワイト国」除外の施行は今月28日。それまでに互いが対話にかじを切り、関係悪化を防ぐ手だてを両国ともが真剣に探ってほしい。
カテゴリー: 社説


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