2019.07.30 08:00

【ホワイト国】韓国除外は再考すべきだ

 安全保障上の輸出管理で優遇措置を取っている「ホワイト国」について、政府は韓国を除外する政令改正を8月2日にも閣議決定する。
 既に半導体などの製造に必要な材料3品目について、政府は韓国への輸出規制を強化している。ホワイト国から除外すれば、一層の関係悪化は避けられない。
 両国は非難の応酬ではなく、冷静な対話によって歩み寄るべきだ。
 ホワイト国は軍事転用できる物質や技術の輸出で、手続きの簡略化といった優遇措置の対象となる。貿易管理を適切に実施し、兵器拡散の恐れがない国と判断すれば指定する。日本は27カ国を指定。韓国が取り消されれば初めてのこととなる。
 韓国では昨年、植民地時代に日本に動員された元徴用工について、最高裁が日本企業に賠償を命じる判決を出した。日本は仲裁委員会の開催を要請したが韓国は応じず、日本は3品目の輸出規制を強化した。
 さらにホワイト国除外で、優遇措置の除外対象は3品目から千品目以上に拡大すると見込まれる。韓国は半導体に次ぐ主要産業の石油化学製品、自動車も打撃を受けると危機感を強めている。
 韓国は「元徴用工問題を巡る報復だ」と批判。日本はそれを否定し、「貿易管理で韓国側に不適切な事案があった」と強調する。ただし、日本政府は「不適切な事案」を具体的に明らかにしていない。
 不適切な事案があるのなら韓国との通商交渉の席上、それを指摘し是正を促すのが筋である。その貿易管理を巡る対話も、韓国側が昨年末に一方的に延期し対話が行われていない状況が続いている、と日本側は説明する。しかし現在、韓国は輸出規制に関する日韓の協議を求めている。話し合いの場を設けることはできるはずだ。
 菅官房長官は輸出規制の強化について、元徴用工問題を巡り韓国政府から満足する解決策が示されなかったことを理由に挙げていた。元徴用工問題が規制のきっかけとなったことは間違いなく、事実上の対抗措置という側面は否めない。だが、政治的対立の解決のために通商政策を用いるのは適切ではない。
 ホワイト国から除外されれば対抗措置を取ると韓国は主張している。報復の連鎖は両国にとってマイナスにしかならない。日本は一連の規制強化措置を取りやめて、対話にかじを切るときだ。
 韓国はこの問題について、世界貿易機関(WTO)に提訴する構えを見せている。一方で元徴用工や従軍慰安婦の問題では、日本と結んだ協定や合意を「ほご」にする形で新たな解決策を求めている。
 WTOで国際法の順守を訴えるのなら、元徴用工問題などでも国家間の取り決めや約束事にもっと重きを置かなくてはならない。
 日韓の対立は民間交流にも影を落とし始めている。積み重ねてきた融和の歴史を損なわぬよう、両国にいま一度、賢明な対応を求める。
カテゴリー: 社説


ページトップへ