2019.07.29 08:00

【福島第2原発】廃炉へ速やかな着手を

 東京電力が福島第2原発1~4号機(福島県楢葉町、富岡町)の全ての廃炉を正式表明した。
 事故を起こした第1原発は既に全6基の廃炉が決まっている。これで福島県内にある2原発10基全てが解体されることになる。
 第2原発は第1原発の南約12キロにある。東日本大震災では地震と津波で4基のうち3基が一時、冷却機能を失った。最悪の事態は免れたものの危険な状態だった。
 福島県は復興の妨げになるとして第2原発も全て廃炉にするよう求めていた。東電の廃炉表明は当然であり、遅すぎるといってもよい。
 原発は信頼を失い、県民は両原発が再び地震や津波の被害に遭う不安にもさいなまれている。東電はもっと早い段階で廃炉を決め、作業に入るべきだった。
 東電の小早川智明社長は昨年6月に廃炉の方向で検討する考えを示していた。正式表明にはそれからさらに1年以上を要している。なおも再稼働に執着していたと受け取られても仕方がない。
 4基全ての廃炉が完了するには40年以上かかるとみられる。国内では商用原発の廃炉が完了した例はまだなく、廃炉のノウハウや人材が豊富とは言い難い。
 そんな中で東電は10基もの廃炉を並行して進めなければならない。経営再建中であることも踏まえれば、経費や人員が十分確保できるのか懸念される。
 試算では第2原発の廃炉費用は約2800億円で、東電は約2100億円は手当て済みとしている。しかし、8兆円規模の費用が想定されている第1原発の廃炉は、溶け落ちた核燃料を回収しなければならず、費用がさらにかさむ可能性が指摘されている。
 東電は、第2原発の廃炉について具体的な工程表を速やかに示し、着手する必要がある。経費の問題も含め住民の不安や疑問にも丁寧に向き合う責任があろう。
 東電は、第2原発の使用済み核燃料の貯蔵施設を敷地内に新設する方針も併せて明らかにした。現在は水を張ったプールで保管、冷却しているが、新施設は使用済み燃料を金属容器に入れて空冷する「乾式貯蔵」とする方針だ。
 日本の原発は「トイレなきマンション」といわれる。使用済み燃料を再利用する国策の核燃料サイクル事業は実質、破綻。「核のごみ」を地下深部に埋める最終処分場は場所すら決まっていない。
 乾式貯蔵はプールより安全性が高いとして原子力規制委員会も勧めているが、敷地内保管が長期化するリスクがある。東電は廃炉終了までに全て県外に搬出するとしているが、現状では廃炉を終えても核のごみが残る不安は拭えない。
 福島に限らず、四国電力伊方原発など全国の老朽原発も同じ課題を抱える。発電を続けるにしろ、廃炉を進めるにしろ、避けて通れない問題だ。国民的議論が急がれる。
カテゴリー: 社説


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