2019.07.24 08:00

【サンマ漁規制】資源管理の実効性が肝心

 深刻な不漁が近年続くサンマの国際的な漁獲枠が初めて設けられた。大きな前進だが、取り決めをどう守り、実効性ある資源管理につなげていくか。これからが肝心だ。
 日本や中国、韓国、台湾など8カ国・地域がサンマの資源管理を協議する北太平洋漁業委員会(NPFC)の年次会合が開かれ、日本が提案した漁獲枠の導入に合意した。
 2020年は約55万トンを上限とし、そのうち主に中国や台湾が操業する公海を33万トンと決めた。昨年まで2年連続で中国などが枠設定に反対しており、やっと合意に至った。
 大事なのは検証方法だ。公海での漁獲量はNPFC事務局に毎週報告するよう義務化した。参加国の当局が閲覧できるサイトにその内容を掲載し、互いに監視可能という。
 報告内容は参加国それぞれの「自己申告」に基づく。実際の水揚げと異なる報告で信頼関係が崩れれば、合意が長続きしない可能性がある。貴重な資源を枯渇させないためにも、そうした事態は避けたい。
 回遊魚のサンマは春から夏に北太平洋の公海で大きくなり、秋ごろにかけて日本近海を南下する。この時季に北海道や東北、千葉県の沖の排他的経済水域(EEZ)で日本は「秋サンマ」を取ってきた。
 NPFCによると、日本の漁獲量は12年までは年20万トン超で推移していた。ところが、15年以降は10万トン前後に激減。公海での操業を中国が本格化したのが13年ごろだ。EEZに回遊前、中国などによる公海での「先取り」が不漁の一因と日本はみている。
 そのため日本は、17年の会合で国・地域別の具体的な数値も含めて枠を決めるよう求めたが、中国や韓国などの反対で決裂。昨年はハードルを下げて、具体的な数値は設けずに国・地域別の上限を設ける枠組みを提案したが、これも中国などの反対で頓挫した。
 今回はさらに譲歩し、国・地域全体の上限枠を提案して合意した。だが、「55万トン枠」は18年の全体の漁獲量約44万トンより多い設定だ。
 EEZを主漁場とする日本と、操業が公海に集中する中国や台湾とは利害がそもそも異なる。これまでの経緯を踏まえて合意しやすい案を日本は提示したのだろうが、それで資源保護は本当に大丈夫だろうか。
 水産庁は利害関係の調整が難しく、国・地域別の枠の設定に踏み込めなかったとしている。提案者として日本の責務は重い。最新の知見や研究に基づいた資源保護はどうあるべきなのか。来年以降も引き続き各国に提案する必要がある。
 国際機関から絶滅危惧種に指定されたクロマグロやニホンウナギに加え、サンマに並ぶ大衆魚のマサバなども漁獲量が減り、資源管理が話し合われている。本県ではカツオ一本釣り漁などを通して資源保護の大切さを考える組織も活動している。
 子どもたちに豊かな魚食文化を残すために、さまざまな魚種の資源保護についてさらに考えたい。

カテゴリー: 社説


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