2019.07.22 08:00

【参院選徳島・高知】合区解消の責任より重く

 3年前に続いて合区で行われた参院選徳島・高知選挙区は、自民党現職の高野光二郎氏が、野党統一候補で無所属新人の松本顕治氏らを破り再選を果たした。
 注目の投票率は42・39%と低調。高知県(46・34%)は前回をやや上回ったが、徳島県(38・59%)が大幅にダウンしたことが響いた。悪天候も影響しただろう。
 徳島の低投票率は有力候補者2人が、ともに高知を地盤としていたことが大きい。民意をすくい取る上で、合区制度には深刻な弊害があることが改めて浮き彫りになった。
 高野氏は事前の世論調査でも序盤から両県でリード。自治体首長や各種団体などの幅広い支持も得て逃げ切った格好だ。
 一方、共産党高知県常任委員の松本氏が、野党統一候補に決まったのは5月末と遅かった。労組間の足並みがそろわないなど共闘の広がりに欠け、低投票率で無党派層への浸透にも限界があった。
 今回とは逆に前回は高知が「地元候補不在」となり、投票率は全国最下位だった。合区で広がった選挙区を候補者はくまなく回ることができず、訴えを浸透させるのは難しい。今後も合区が続けば、選挙離れに拍車が掛かる恐れは強まろう。
 高野氏は「合区解消をうたうのは自民だけ」と胸を張る。しかし自民は前回参院選でも合区解消を前面に打ち出していた。それが2度続いた以上、「公約違反」と言われても仕方ない。
 確かに自民の憲法改正案には、参院選の選挙区で、改選ごとに各都道府県から1人以上選出できる規定がある。ただし、「投票価値の平等」を求める憲法14条を損なう懸念などが指摘されている。
 衆参両院で多数派が異なる「ねじれ国会」では、参院が国政を止めるほど強い権限を発揮したこともあった。たとえ投票価値の平等が損なわれても議員の選び方を変えるというのなら、参院の権限は今のままでいいのか。
 参院の選挙制度改革は、衆院と参院の役割分担にまで立ち返った抜本的な論議が要る。6年間の長い任期を持ち、解散の心配もない参院議員自身が本来、それを担わなければならない。にもかかわらず出てきたのは、合区や特定枠といった緊急避難的な弥縫(びほう)策ばかりだ。
 そうした政治の怠慢に対する県民の不満や不信の思いを、高野氏らはくみ取らなければならない。その上で今度こそ、合区を解消することができるのか。背負った責任はより一層、重くなった。
 農林水産政務官を務める高野氏にとって、日米貿易交渉の行方も問われよう。米側は農業分野での大幅な関税引き下げを要求しているとも言われている。決着は参院選後に先送りされたが、「米に大幅譲歩したのではないか」との疑念も出ている。
 仮にそうなら、県内農家への影響も心配される。説明責任をきちんと果たす必要がある。

カテゴリー: 社説


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