2019.07.21 08:00

【きょう投票】ひいきのチームつくろう

 きょう投票日を迎えた参院選は、2016年に「18歳選挙権」が導入されて以降、3度目の国政選挙となる。ただし、若者の投票率は芳しくない。
 16年参院選、17年衆院選とも10代の投票率は40%台、20代は30%台にとどまった。両選挙とも全体の投票率は50%台で、若者の投票率はそれを下回っている。
 若い世代はなぜ、投票に行かないのか。本紙連載「現論」の元執筆者で文芸評論家の斎藤美奈子さんは、「若者には『ひいきのチーム』がないからだ」と指摘する。
 大半の若者にとって野球やサッカーとは違い、好きな政党やひいきの候補者がいるわけではあるまい。選挙の時だけ「関心を持て」「投票に行け」と言われても戸惑うだけだと、著書「学校が教えないほんとうの政治の話」に書いている。
 ひいきをつくるには各チームの違いを知る必要がある。しかし選挙カーは名前の連呼が中心。候補者の訴えも争点を隠していたり、聞き心地のよい公約ばかりだったりすると違いが分かりにくい。
 そもそも学校や職場でひいきのチームを公言すると、不都合なことになりはしないか。政治的な発言に慎重にならざるを得ない空気が、社会全体にあるのかもしれない。無関心という言葉で、若者をひとくくりにすることはできないだろう。
 投票率の低さを、若者の責任だけに帰すこともできない。
 初めて徳島県との合区となった前回参院選。本県の投票率は45・52%と全国最低に沈んだ。有力候補者2人がともに徳島を地盤としていたためもあったが、今回は逆に高知を地盤としている。関心が高まっていいはずだが、選挙戦は盛り上がりを欠いた。
 合区で選挙区が広がり、候補者との接点が減ったこともあろう。それならなおさら合区解消の思いを候補者に託さなければなるまい。現に前回、合区となった島根県の投票率は62・20%で全国上位。鳥取県も56・28%で踏みとどまっている。
 若者が大人の「背中」を見ているとしたら、これ以上の投票率低下は避けたいところだ。選挙離れの進行は、民主主義の危機に直結する。
 若い世代の投票意欲を高めるにはどうすればいいか。斎藤さんは「自分の政治的ポジションを見つけて」と指南する。
 難しく考えなくてもいい。
 例えば年金問題。若者たちの間でも「自分たちは老後にもらえるのか?」と関心を集めている。今の政治を支持し「このままのやり方でいい」と思うなら与党を、政治に不満があって「別のやり方に変えたい」と思うなら野党を選ぶ。
 一つ一つのテーマについて自分の政治的な立ち位置を考える。それを積み重ねていけば選挙の敷居もそう高く感じなくなるかもしれない。
 将来を見据えた選択の大切さが増している。老いも若きもまずは1票を投じる行動から始めたい。
カテゴリー: 社説


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