2019.07.09 08:35

再び輝け龍河洞 映像武器にPR 新冒険コースも近く公開

龍河洞の最深部で上映されているプロジェクションマッピング(香美市土佐山田町逆川)
龍河洞の最深部で上映されているプロジェクションマッピング(香美市土佐山田町逆川)
 発見から88年。高知県の観光を長きにわたって支える龍河洞(香美市土佐山田町逆川)が、生まれ変わろうとしている。全国初の洞内プロジェクションマッピング(PM)が19日に正式スタート。“再生”へ向けた取り組みの周辺を探った。
 
 1973年のピーク時には、年間105万人が訪れ、県観光の「4番バッター」だった龍河洞。近年は10万人台にまで落ち込んでいる。
 
 2016年7月、尾﨑正直知事の龍河洞視察をきっかけに整備の機運が高まった。翌年には県の主導で香美市や保存会、商店街関係者が「龍河洞エリア活性化協議会(旧龍河洞まちづくり協議会)」を立ち上げ、入洞者を今後10年で現在の3倍、30万人に増やす計画を立てた。
 
 そのための第1弾が、県や市などが約1億6千万円をかけた、プロジェクションマッピングや洞内の「Wi―Fi(ワイファイ)」整備など。今後は冒険コースの拡充のほか、商店街の改修などを行う案もあり、尾﨑知事は「ここは県の宝。何十万人単位で観光客を増やす潜在力がある」。県として全面サポートする考えを示している。
 
 【龍河洞】「日本三大鍾乳洞」の一つ。石灰岩質の三宝山の山中にあり、約1億7500万年かけて形成された。観光のメインコースの中央洞に加え、西本洞、東本洞もあり総延長は約4キロ。1934年に国の天然記念物・史跡に指定された。
 
全面改装された出口の休憩所。高知大生がカフェを切り盛りしている(香美市土佐山田町逆川)
全面改装された出口の休憩所。高知大生がカフェを切り盛りしている(香美市土佐山田町逆川)
映像武器にPR 新冒険コース 近く公開
 龍河洞の再興の目玉、全国初の洞内プロジェクションマッピング(PM)を見た観客の反応は上々。「何これ、すごい!」「今までと全然イメージが違う」。連日、家族連れやカップルらの歓声がこだまする。
 
■熱い視線 管理運営する龍河洞保存会と共に、取り組みを引っ張ったのが地元の観光振興を目指す会社「龍河洞みらい」。古川陽一郎社長は「本来の魅力や環境を損なわないよう取り組んだ」という。
 
 こうした挑戦に、各地から熱い視線が送られている。日本三大鍾乳洞“仲間”で、年間約50万人が訪れる秋芳(あきよし)洞(山口県)は一昨年から秋に1週間限定の洞外プロジェクションマッピングを実施。3千人が訪れたそうで「洞内ならさらに効果がありそう」。年間約17万人が訪れる龍泉洞(岩手県)も「画期的。刺激を受けた」。
 
 洞内でプロ野球試合上映や洞外でeスポーツ大会を開催するなど、ユニークな催しで年間20万人を集めるあぶくま洞(福島県)は「国内初、洞内eスポーツ大会なんてどうでしょう?」。より攻めた提案をしてきた。
 
 観光業界も注目。高知市内の旅行代理店がツアーを企画しているほか、香南市のホテルも「全国の旅行代理店が集う商談でPRする。強力な武器になる」と力を込める。
 
■「世界にない」
 洞内最深部に広がる空間「七福神の館(やかた)」。ここで4分間上映されるプロジェクションマッピングは、真っ暗な洞内をゆらり、明かりが照らすシーンから始まる。1931(昭和6)年、県立中学海南学校(現小津高)の教諭だった山内浩さん(元日本ケービング協会会長)らが新洞を発見した時の「感激」を表現している。
 
 浩さんの三男、平三郎さん(72)=沖縄県=も洞窟探検の国内第一人者。玉泉洞(沖縄県)を発見するなど、これまで千近い洞窟に入ってきたが、「龍河洞ほど複雑で起伏に富んだものは世界にない」と言う。
 
 各地で観光開発に携わる立場から、「見るだけの観光は飽きられる。求められるのはスリル、臨場感、冒険心」と断言。「まだ公開していないコースを売り出して」と話す。
 
 龍河洞には、今年20年目を迎え、年間3千人が体験する「冒険コース」(約200メートル)がある。ガイドの案内で、真っ暗な洞内をヘッドランプの明かりを頼りに、はうように進む。さらに楽しんでもらおうと、目を付けたのが未開放だった「西本洞」。その一部で膝まで水に漬かって進むなど、より本格的な冒険が楽しめるようになる。近く公開予定という。
 
■テーマパークに
 保存会や「龍河洞みらい」は若い力で活性化を促したいと学生インターンを積極採用中。洞窟出口すぐのカフェ運営に携わる高知大地域協働学部2年の石井多喜さん(19)は、冒険コースガイドも修業中。「イケてる場所にしたい」と意気込む。
 
 「龍河洞エリア活性化協議会」では、老朽化した博物館や商店街などを全面改装する案も打ち出した。費用は最大で約10億円。尾﨑正直知事は「しっかりした投資を行うのは有用なこと」と話し、保存会の岡村錦一会長(64)は「一大テーマパークにして地域を潤したい」と実現を心待ちにする。
 
 88年目の巻き返しを狙う龍河洞。古川社長は、こう話す。
 
 「ただの史跡でなく、県民の誇り。それを思い出してもらうのが活性化の鍵になる」(竹内将史)

カテゴリー: 社会香長


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