2019.07.07 08:35

香美市の標高約560メートル“天空の農場” 旧大栃高農場、今も現役

山あいに広がる「神池農場」。大栃高生の思いを高知農業高生が引き継いでいる(写真はいずれも5月、香美市物部町神池)
山あいに広がる「神池農場」。大栃高生の思いを高知農業高生が引き継いでいる(写真はいずれも5月、香美市物部町神池)

高知農高が継承10年 茶やユズ栽培体験
 香美市物部町神池地区。市街地から遠く離れた標高約560メートルの山間に、知る人ぞ知る“天空の農場”がある。2009年度で廃校になった大栃高校の「神池農場」(約2・4ヘクタール)だ。高知農業高(南国市東崎)が引き継いで10年。貴重な実習の場として、今も無農薬栽培の茶やユズ園、クヌギ林などが往時のまま維持されている。

茶畑に生えた雑草を取り除く生徒たち
茶畑に生えた雑草を取り除く生徒たち

 高知農業高から車で1時間余り。山中のうねうねとした林道を抜けると、突如、目の前が開ける。茶葉の緑が青空や水田に映え、鳥がさえずり、風が吹き抜ける“別天地”だ。

 大栃高は廃校前の約5年間、高知農業高と実習を通じて交流。「専門校なら安心して任せられる」と同高に農場を託した。

 現在は、主に同高の3年生が管理。森林総合、農業総合、環境土木など各科が実習に活用している。食品ビジネス科は茶園を管理。年間を通して草刈りや除草、畝の摘みそろえなどを行う。5月には29人が収穫のため、初めて足を踏み入れた。

 平野部にある学校園とは勝手の違う傾斜地で、生徒らは伸び放題のワラビの除去などを初めて経験。山下美海さん(18)は「新芽が大きくて摘みやすく、数も多い。来るのは大変だけど新鮮」と楽しげだ。

 寒暖差や水はけの良さ、天敵のダニがいないことも生徒たちにとっては「非日常」。担当の松繁冬樹教諭は「下草刈りなどの苦労も含め、山間部での栽培を学ぶ貴重な機会」と話す。

 50年以上前、周辺には15軒ほど民家があったそうだが、今は1軒だけ。その管理のため南国市から通う男性(86)は「生徒が来ると、昔のにぎわいを思い出すね」と目を細める。農業総合科の明石充教諭は、廃校時を含め通算8年大栃高に勤務。「大栃高生の思いが生きているようでうれしい」と、農場の存続を喜んでいる。(横田宰成)

カテゴリー: 教育香長


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