2019.07.16 09:52

【動画】相次ぐとさでん路面電車事故 なぜ同じ交差点で...

高知市大津甲を通る国道195号沿いの路面電車軌道と市道の交差点で、5月8日と6月24日に電車と車の接触事故が起きました。2つの事故は、いずれも市道から電車軌道へ北進していた車と、西進していた電車が衝突したもの。2カ月以内に同じ場所で起こった事故に、近隣の住民は「こんな短期間に2回は初めてじゃないか」と驚いています。どんな交差点なのか、現地を歩きました。

事故現場の交差点を西進する路面電車。交差点の北側に電光掲示板とカーブミラーが設置されている
事故現場の交差点を西進する路面電車。交差点の北側に電光掲示板とカーブミラーが設置されている

事故が起こったのは、「領石通」電停から東へ約150メートルのところにある信号や踏切のない交差点。実際に車を運転してみると、交差点の南側からは左右両側の民家やその塀に視界が遮られ、電車軌道の見通しはほとんどききません。

▼実際の事故現場を走行 運転席側後部座席より撮影


電車が来ているか目視しようとすれば、車が軌道にはみ出すまで前進させないと確認できませんが、もしその時に電車が来ていたら接触してしまいます。そのため、軌道と国道をまたいだ北側にカーブミラーがあり、ミラーの上部には電光掲示板や回転灯が設置されており、電車が接近すると「電車注意」の文字が光ります。

西進する電車の目線で、市道から電車軌道に出る車を見る
西進する電車の目線で、市道から電車軌道に出る車を見る

見通しが悪いため、車の運転手が電車の接近を知るためには、ミラーや電光掲示板が頼り。ただ、初めて通った記者はミラーに気を取られて電光掲示板に気づきませんでした。近くに住む男性(72)は「昼間は電光掲示板が見えにくい。直接見るには軌道に入らんといかんが、後ろに車が来たら戻ることもできん」と話します。

また、市道側は山に囲まれた盆地状の住宅地で、男性によると近年、新築住宅も多く建ち住民が増えているそうです。一方で、住宅地から軌道方面に出るには、事故のあった交差点とその西側の交差点(信号あり)の2カ所がありますが、路地が狭いことなどから、事故のあった東側の交差点を利用する人も多いといいます。

市道から出る車は電光掲示板とミラーが頼り
市道から出る車は電光掲示板とミラーが頼り



特に朝夕は交通量が多い上に、交差点から南へ70メートルほどの区間は、車の行き違いが難しい道幅。1年半ほど前に引っ越してきたという女性(37)は「車と電車の両方確認しないといけないから、かなり気を使う。手前からはカーブミラーも見にくいし、電車の確認がおろそかになることもある」。

通勤などで毎日通行するという女性(34)は「後ろから車が来れば、早く出ないと、と焦るし、(軌道から市道に)入って来る車にも気を取られて怖い。電光掲示板も見にくいから近所の人とは『信号を置くか、掲示板を何とかしてもらえたら』と話す」と困惑していました。
 
電車を運行するとさでん交通によると、この交差点にはもともと、北側のミラーしかありませんでした。地元の町内会からとさでんや高知市に、電光掲示板設置など安全対策についての要望が3回にわたってあり、2007年にとさでんと高知市が費用を負担して掲示板を設置しました。

掲示板などの安全確認装置が南側の市道にあれば、車からより見やすくなりそうですが、高知市道路管理課は「市道の幅が狭く物理的に厳しい上、両側も民地で難しい」としています。

葛島橋より東には車などが電車軌道を横断する交差点が多く、とさでんは「乗務員は非常に神経を使う」エリアといい、制動距離が長い電車の特性から「軌道内に進入する場合には、十分に電車を確認してほしい」と呼びかけています。

その上で今回の事故を受け、高知市と県に「電車に注意」の路面標示を施すよう要請しました。

一方、地元住民から「掲示板が見にくい」との要望を受け「市道からの視界が悪く危険な場所だと認識している。できるだけ早く対応したい」という市道路管理課。電光掲示板の設置位置を下げ、ひさし部分を伸ばすなどの改良を8月中をめどに行うとしています。

とさでん交通によると、高知市内と周辺で起きた路面電車と車両の接触事故は4月以降、15件ありました。14~18年度の5年間には計295件あり、年間48~70件で推移。ほとんどが軽微な事故で、当事者が大けがを負ったケースはないとしています。
(飯野浩和、木田名奈子、福田一昂)

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