2019.06.23 08:00

【教員の仕事時間】世界最長の汚名返上急げ

 経済協力開発機構(OECD)が昨年実施した調査で、日本の中学校教員の仕事時間が世界最長であることが分かった。
 しかも、調査に参加した48カ国・地域の平均である1週間当たり38・3時間を、大幅に上回る56・0時間も働いている。
 先進国では恐らく断トツの長さであり、早急に汚名をそそぐために対策を加速すべきだ。
 OECDの調査は今回が3回目で、2013年の前回調査と比べて2・1時間伸びた。今回新しく調査に加わった小学校教員の仕事時間も、世界最長だった。
 日本の教員の超多忙ぶりは近年、「働き方改革」とも相まって、議論や対策がなされてきた。前回に比べて時間が長くなったのは、教員の負担軽減が思うように進んでいないことを意味する。
 文部科学省の16年度調査では、小学校3割以上、中学校で6割近くの教員の残業時間が、月80時間の「過労死ライン」を超えた。そこで文科省は今年1月、公立小中学校教員の残業時間の上限を、原則「月45時間、年間360時間」とする指針を策定している。
 教員の仕事が増え続ける中で、指針の水準に近づけるには、相当な困難が伴う。
 OECD調査では部活動や、書類の作成などの事務作業に関わる時間が、いずれも世界最長となった。この傾向は、国内の調査でも既に裏付けられている。
 部活動については、週2日以上の休養日を設けるなどの国の指針がある。文科省は教員に代わり顧問などを務める部活動指導員を、大幅に増やす予定という。
 事務作業の軽減では、文科省や自治体の教委から各学校に送られてくる膨大な文書がある。「調査」「依頼」などの内容だが、学校現場の自主性を尊重すれば、上意下達型の文書の乱発は、教員の負担を重くするだけだろう。
 事務作業を手伝う支援員の配置などで、少しずつ改善されつつある学校もある。だが仕事を減らす具体策をさらに増やさないと、文科省の指針達成はおぼつかない。
 OECD調査で気に掛かる点は、まだある。
 中学校教員のうち「批判的に考える必要がある課題を与える」といった指導を、「いつも」もしくは「しばしば」していると答えたのは12・6%と低かった。平均は61・0%で世界最低である。
 「明らかな解決方法が存在しない課題を提示する」も16・1%で平均よりかなり低い。これらの指導方法は新学習指導要領が目指す、「主体的・対話的で深い学び」に直結する問題だ。
 世界的に突出する先生の働き過ぎは、教員の心身の健康をむしばむだけではない。教員が子どもたちに向き合う時間を奪い、教育の質の向上にとって妨げになりかねない。早く世界標準に追いつくべきだ。
カテゴリー: 社説


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