2019.06.05 08:35

馬路で学んだ医師着任 高知大卒の佐野真一さん「生活“診る”仕事を」

「村の看護師さん、保健師さんは住民を本当に知っている。大きな病院では得がたい経験」と話す佐野真一さん(馬路村の馬路診療所)
「村の看護師さん、保健師さんは住民を本当に知っている。大きな病院では得がたい経験」と話す佐野真一さん(馬路村の馬路診療所)
 高知県安芸郡馬路村の馬路村立診療所にこの春、高知大学医学部出身の医師、佐野真一さんが着任した。学生時代には地域医療について学ぼうと足しげく村に通い、村民と交流を重ねてきた38歳。「生活全体を“診る”医者として地域に役立ちたい」と意気込んでいる。

 広島県福山市出身。父親は開業医だが、親とは違う道を選びたいと早稲田大学商学部に進んだ。保険会社などへの就職を考えていた4年の頃、旅行で訪れたインドの奥地で体調を崩してしまう。保険もきかず、心細さが募る中、現地の診療所医師が親身に治療してくれたことにいたく感激。父と同じ道を志そうと決めた。

 26歳で高知大医学部に入学。ちょうどその頃、大学で地域医療に携わる医師を育成する「家庭医療学講座」(阿波谷敏英教授)がスタート。学生に地域医療の現状や課題を知ってもらおうと、馬路村や高岡郡梼原町で行う家庭医療学講座主催の勉強合宿「家庭医道場」も始まった。

 佐野さんは道場に毎回のように参加し、運営も担うように。夏休みには仲間と一緒に、馬路村の子どもたちに勉強を教える活動にも携わってきた。

 卒業後は岡山市や京都市の病院で経験を積んできた。地域の家庭医としてスキルアップを図りたいと、診療所勤務を希望。阿波谷教授の声がけもあり、なじみの深い馬路村で働くことになった。

 診療所医師は1人。馬路、魚梁瀬両診療所を行き来し、救急対応も手掛ける日々だ。
 目指すのは「切り取らない医療者」という。「病だけを切り取らずに身体全体を、ひいては生活や人生を診る。患者さんの生活全般に普段から気をつけ、効果的な治療につなげたい」と誓う。

 学生時代から佐野さんを知る、元村役場職員の木下彰二さん(53)=馬路=は「常駐してくれるなんて、感極まる思い。みんな喜んでいます」と笑顔。佐野さんの頑張りを温かく見守っている。 (北原省吾)

カテゴリー: 社会医療・健康ニュース安芸


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