2019.05.26 08:00

【あおり運転】何としても歯止めを

 死亡事故を引き起こす恐れがある危険な「あおり運転」が依然として後を絶たない。
 各都道府県の公安委員会が2018年、あおり運転をしたとして免許停止の行政処分をした事案が過去最多の42件に上った。14年からの4年間は年4~7件しかなく、激増したといっていい。
 また、前方の車との距離を詰め過ぎる道交法の車間距離保持義務違反も1万3025件と前年からほぼ倍増した。
 17年6月、神奈川県の東名高速道路で、無理やり停車させられた夫婦がトラックに追突されて死亡した事故を契機にあおり運転は社会問題化した。警察庁は昨年1月、免許停止の行政処分適用と取り締まり強化を全国の警察に指示した。
 急増の背景には、そうした強化策がむろん関係している。だとしても悲惨な事故につながりかねない無謀な運転がこれほど横行している状況は看過できない。何としても歯止めをかけたい。
 車間距離違反のうち、約9割は高速道路で摘発された。幅寄せや急な車線変更による後続車の妨害、クラクションでの威嚇といった行為もあおり運転には含まれる。高速道で、それが繰り返されていたとしたら…。東名高速道の事故以降、走行状況を記録するドライブレコーダーを自衛策として取り付ける運転者が急増した。いつ巻き込まれるか分からないあおり運転を心配する人が多いからだ。
 各地の警察は車間距離を詰めるなどした車両をヘリコプターから見つける取り締まりなどを始めている。重大事故を防ぐためにもさまざまな対策を求めたい。
 大事なのはハンドルを握るドライバー一人一人の自覚だ。無謀な運転をして事故を起こせば、相手方はむろん、運転者自身の人生やその家族など多くの人の将来を奪い、狂わせてしまう。その自覚を常に持つ必要がある。
 東名高速道の事故の裁判では、あおり運転をした男に常習性があったことが明らかになった。割り込みや追い越しなどで感情が高ぶり、危険行為や暴力に及ぶ運転者は海外でも問題になっている。
 免許取得時や更新時の講習などであおり運転の危険性を周知する取り組みに力を入れてほしい。実際の事例を説明し、安全運転意識を高めるよう啓発すべきだ。
 愛知県警高速隊は、あおり運転をするドライバーの心理を学ぶ研修を今年初めて導入した。違反者の取り締まりの際、怒りの静め方も併せて指導し、再発防止につなげる狙いという。それぞれの地域の警察が無謀運転を減らす対策にさらに知恵を絞りたい。
 散歩中の園児が巻き込まれたり、高齢者ドライバーが加害者になったり、あおり運転に限らず、さまざまな事故が報道されている。まずは運転者それぞれが細心の注意を―。改めて肝に銘じるしかない。
カテゴリー: 社説


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