2019.05.24 08:00

【ファーウェイ】利用者の不安は大きい

 中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)を標的にしたトランプ米政権の禁輸措置が、早くも市民生活に影響を及ぼし始めた。
 携帯電話大手のNTTドコモは、今夏に発売予定だったファーウェイの新型スマートフォンの予約受け付けを停止した。同じくKDDI(au)とソフトバンクも発売を延期すると発表した。
 一部の格安スマホ業者も同様の措置を取る方針だ。動きは英国など海外にも広がっている。
 米グーグルがスマホ用ソフトのファーウェイへの提供を停止すると報じられたためだ。端末を発売してもソフトが使えなくなったり、セキュリティーに問題が生じたりする恐れがあるという。
 ファーウェイは世界3位のスマホメーカーであり、高性能な割に価格が安く、日本でもシェアを伸ばしてきた。それだけに影響は大きい。
 新製品だけの問題ではない。既に販売済みの多くの端末はどうなるのか。今後も安心して使えるのか。利用者の不安は大きい。
 米中の技術覇権を巡る対立が、第三国の携帯利用者の不利益につながることがあってはならない。トランプ政権には引き続き自制を求める。グーグルや携帯各社も、利用者の不安に真摯(しんし)に応える必要がある。丁寧な説明と混乱回避への取り組みが強く求められる。
 米政府は、安全保障上の問題を理由に米企業にファーウェイ製通信設備などの使用を禁止。スマホ部品の輸出も禁じた。
 グーグルのソフト提供停止はファーウェイにさらに追い打ちをかけるものといってよい。スマホを稼働させるには基本ソフト(OS)が欠かせず、目的別のソフトであるアプリも必要だからだ。
 グーグルのOS「アンドロイド」はアップルのOSとともに世界市場を二分している。傘下の動画投稿サイト「ユーチューブ」や実写地図なども高い人気を誇り、多くのアプリが供給されている。
 これらがスマホメーカーに提供されなくなれば、端末は売り物にならないだろう。ファーウェイは対抗策として独自のOSを搭載する計画を明らかにしているが、経営への打撃は避けられまい。
 ファーウェイは世界的な部品供給網を築いている。同社が傷つけば、日本を含め各国の製造業も無傷では済まないことも忘れてはならない。だが、トランプ政権はそうした現実を無視しているようにさえ映る。
 米国の巨大IT企業であるグーグルの影響力の大きさが改めて浮き彫りにもなった。グーグルも寡占や膨大な個人情報収集が国際社会から批判されている。
 スマホはいまや社会インフラの一つといわれる。だからこそ健全な国際競争によって各国に恩恵が行き渡り、安心して利用できる環境が整備されなければならない。
 米中はまずそれを担う責任を持つことだ。

カテゴリー: 社説


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