2019.05.16 08:00

【丸山氏の発言】議員バッジを外すべきだ

 35歳の国会議員による、戦争を経験した世代への、あまりに無自覚で非常識な「戦争」発言である。
 北方領土へのビザなし交流訪問団に同行した丸山穂高衆院議員が国後島で酒に酔い、元島民の団長に「戦争で島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」などと質問し、騒いでいたことが分かった。
 戦争を強く否定する団長に「戦争をしないとどうしようもなくないですか」とも迫っていた。武力による解決に賛同を求めたと受け取られても仕方がない言動だ。
 批判を受け丸山氏は、日本維新の会に離党届を提出したが、維新は受理せず、処分としては最も重い「除名」とした。党代表の松井一郎大阪市長は陳謝し、丸山氏に自ら議員辞職するよう求めた。
 当然だろう。もはや「失言」の域を超えている。酒が入っていたのだとしても、国会議員としての適性に欠けるのは明らかだ。議員バッジを外すべきである。
 日本国憲法は明確に戦争を放棄しており、国会議員らに憲法の尊重擁護の義務を課している。再び日本が戦争の道に向かわないよう平和主義を貫徹することこそが議員の責務といってよい。
 元島民らの心情への想像力も欠いている。
 北方領土のかつての住民は、1945年の旧ソ連の侵攻で郷里を失った。つらい抑留を経験した人も多いが、存命の関係者は平和な問題解決を願って現ロシアの住民らとも交流を続けてきた。
 北方領土返還に向けた日ロの外交交渉は遅々として進んでいないが、武力で故郷を奪還してほしいなどとは考えもしていないだろう。新旧の島民が長年温めてきた交流にも影を落としかねない。
 丸山氏は衆院沖縄北方特別委員会の委員を務めており、ロシア側からも批判の声が上がっている。いったい何のために訪問団に同行したのだろうか。
 与野党から議員辞職を求める声が強まる中、丸山氏は辞職を否定し、あくまで無所属で議員活動を続ける考えを示している。
 所属していた維新の姿勢も疑われよう。丸山氏は大阪19区選出の当選3回で、いずれも維新公認で当選した。除名はしても、党としての責任は免れまい。
 2015年にも飲酒が絡むトラブルを起こしているとなればなおさらだ。東京都内で一般人の手をかむなどし、維新は厳重注意にしている。その際、本人は議員在職中の断酒を宣言していた。
 維新は野党ではあるが、安倍政権と一定の関係を維持している。国会でもキャスチングボートを握る可能性がある政党だ。自浄作用があるのかが問われる。
 安倍政権内でも4月に、失言で塚田一郎氏が国土交通副大臣を、桜田義孝氏が五輪相をそれぞれ辞任したばかりだ。与野党を問わず劣化する国会議員の質に背筋が寒くなる。
カテゴリー: 社説


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